ケータイ電子書籍、知ってる人は9割・利用経験者は半数以上

2007年10月26日 06:30

書籍イメージネットエイジアが10月25日に発表した調査結果によると、携帯電話を用いた電子書籍(ケータイ電子書籍)の若年層における認知度は約9割にものぼり、実際に利用した経験がある人の割合は5割強にも達していることが明らかになった。若年層の間に「携帯電話を用いた読書」というライフスタイルは広範囲で浸透していることが分かる(【発表リリース】)。

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今調査は10月16日から19日に15歳から29歳の携帯電話所有者を対象に行なわれたもので、有効回答数は600。男女比は1対1。年齢構成比は15~19歳、20~24歳、25歳~29歳がそれぞれ200人ずつ(男女100人ずつ)。

認知度は9割、利用率は5割

携帯電話を用いて電子書籍を読む「ケータイ電子書籍」について、知っているか・利用した経験があるかについてたずねたところ、存在そのものを知らなかったと答えた人はわずかに9.2%に過ぎず9割以上の人が知っていると答えた。

■ケータイ電子書籍の利用経験

・知らない……9.2%
・知っているが使ったことはない……38.8%
・無料版を利用したことがある……38.8%
・有料版を利用したことがある……6.3%
・無料と有料どちらも利用したことがある……8.8%


言い換えれば「知っている人は9割強」「利用した経験がある人は5割強」「有料版を利用したことがある人は2割弱、無料版は5割弱」ということになる。

元々携帯電話を使ってネット経由で文書を読めるのだから、小説のような長編を読むのもアリだろうという考えは自然に思い浮かぶもの。「ケータイ電子書籍」が登場するのも当然の成行きといえる。若年層限定とはいえ、ほとんどの人が知っているのも理解できる。

また、利用者も過半数に及び浸透度が高いことが分かる。ただしどちらかといえば立ち読み感覚で利用されている場合が多く、実際に有料版を購入して読んだ経験がある人は2割程度にしか過ぎない。やはり手元に残る書籍ならともかく、デジタルの書籍に対してお金を出して購入するという考えにはまだ抵抗があるのかもしれない。

■普段のケータイ電子書籍の利用方法

・月定額(読み放題)……9.3%
・作品ごとに購入……13.2%
・読み放題と作品ごと購入を併用……4.9%
・無料のみなど……72.8%


問題点も多いケータイ電子書籍

多くの人に知られていて有料の購入者もそれなりに要るケータイ電子書籍だが、問題点も少なからず存在する。利用経験者に対する満足度調査では「満足派」が4割強に登ったのに対し「不満派」が2割強もいることが明らかになっている。その理由として挙げられたのが次の通りで、現在のケータイ電子書籍の問題点が非常によく分かる内容となっている。

■ケータイ電子書籍の利用不満理由(利用した人に対して)

・読みにくい、見づらい……59.4%
・利用料金が高い……40.6%
・閲覧ソフトのダウンロードが面倒……34.4%
・欲しい書籍にたどり着くまでに時間がかかる……31.3%
・表示が遅い……31.3%
・検索が面倒……26.6%
・好きなジャンル、作家が少ない……25.0%
……etc.


一方、利用していない人に対して同様の問いをしたところ、「紙媒体の本で読む方が好きだから」がもっとも多く半数近くの回答を占めた。

■ケータイ電子書籍を利用しない理由(利用していない人に対して)

・本で読む方が好き……47.8%
・読みにくい……34.8%
・無料で無い……30.8%
・利用料金が高い……27.4%
・画面が小さいのでイライラする……26.9%
・通信料がかかる……25.9%
・興味が無い……25.4%
・閲覧ソフトのダウンロードなどが面倒……25.4%
……etc.


「紙媒体の本の方が好き」な意見は別としても、ケータイ電子書籍を利用しているが不満を持っている人と、利用していない人の理由に共通項が多いのが分かる。技術上の問題・提供企業側のスキルの問題・携帯電話そのものの問題など(例えば検索の面倒さはソフト上でインターフェイスに十分な考察が行なわれて画面上の改善が施されれば、ある程度解消はできる)、努力が行なわれればいずれは改良される可能性が高い項目もかなり見受けられる。将来的にはこれらの「不満」がある程度改善され、ポジティブな意見に替わることも十分に考えられる。


「ケータイ電子書籍」で読んだことがあるジャンルとしては「コミック」が最も多く7割強、続く「小説」の5割強とあわせ、この2ジャンルが今のところ主流となっている。最近流行の「ラノベ」こと「ライトノベル」が多くの若年層に受け入れられたのは「コミック感覚で気軽に読めること」が大きな要因だが、「ケータイ電子書籍」はある意味「ラノベ」以上に気軽で、しかもいつでもどこでも読めるという特徴を持つ。展開次第では「ラノベ」以上に定着し、広範囲な市場を築き上げるに違いない。

また、携帯電話で提供されるという特性を活かし、その表示方法にあわせた文体や表現方法など、「ケータイ電子書籍」文化と呼ばれるような執筆スタイルや風潮も今後続々と登場するだろう。

その一方、「ケータイ電子書籍の利用意向」という問いに対し「利用したい派」「したくない派」「どちらともいえない派」が回答数では三分され、携帯ユーザーから見ても現状では様子見的な雰囲気があるのが気になる。「所詮ケータイだから」と安易に考え、内容的に今ひとつどころか今二つのような質のものが粗製濫造的に登場することになれば、「どちらともいえない派」の多数が「したくない派」に移行してしまう可能性が高い。

携帯電話上での閲覧という特性を活かしつつ、携帯電話で読まれるものあっても「書籍」「小説」には違いないことを忘れずに良い内容のものを提供するよう、送り手側としては努力を続けてほしいものだ。


■関連記事:
【「電子書籍・コミックをダウンロードしたことがある」は4割強】

(最終更新:2013/08/18)

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