お米の作況、今年は「99・平年並み」。価格下落対策のため備蓄米を100万トンまで積み増しへ

2007年10月30日 08:00

お米イメージ農林水産省は10月29日、2007年産米(水稲)の作況指数(10月15日現在、平均が100)を発表した。それによると全国平均では99の「平年並み」となり、2年連続でわずかながら100を下回る結果となった(発表リリース、PDF)。また収穫量がさほど変わらないにも関わらず米の価格が大幅に下落していることを受けて、政府では備蓄米を100万トンまで買い増すため34万トンを年内に買い入れることとし、さらに去年の販売残り分10万トンは家畜の飼料に回し政府側が費用助成を行なうなどの対策を発表している(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク

2007年産水稲の作付け面積は166.9万ヘクタールで、他の作物への転換などにより前年と比べると1.5万ヘクタール(1%分)減少。収穫量そのものは全体的に見ると気温がやや高め・雨が少なめのため関東以西の成長がやや抑制されているものの、秋雨前線や台風の被害が少なく、870万5000トンが見込まれるという。

10月15日現在地域別作況指数
10月15日現在地域別作況指数

県別にみると秋田や山形などが平均以上など東北地域が特に状況がよく、一方で鳥取の91、島根の95、宮崎の76など関西地域で発育が今ひとつ。特に数字の下げが気になる宮崎は台風4号などの影響によるもの。

収穫予想量は9月時点では854万トンだったが、それを元にした生産過剰分のお米は需要量(見通し)の833万トンと比べると23万トンとなる(最新のデータで再計算すると37.5万トンにまでふくらむ)。ただし、お米そのものの平均価格は米の余剰量の割合以上に急落しており、これを受けて政府では備蓄米の買い増しを実行する。

お米の平均価格推移(米価格センター全産地銘柄)
お米の平均価格推移(米価格センター全産地銘柄)

表からは読み取れないが今年は前年同月比7~8%、新潟こしひかりは11%の下落を見せているとのこと。また、出来高の良し悪し(作況指数の変化)に関わらず価格が年々下落していることが分かる。

米食中心からバラエティに富んだ食事へと食生活の変化が進みつつあることから、相対的にお米の消費量が減り、結果として(供給量がさほど変わらない以上)お米の価格が下がるのは仕方のないことかもしれない。しかし価格が下がって生産農家の経営が圧迫され、さらに作付け面積が減り生産量が落ち込めば、食糧需給率の下落にも歯止めがかからない一因にもなる。

【おらが村の料理を国のお墨付きで世界に発信・農水省が「郷土料理100選」選定へ】にもあるように間接的にお米の消費量を増やしていくような環境整備を今まで以上に積極的に行なうとともに、世界へ輸出もできる付加価値の高い米製品の開発を検討すべきなのかもしれない。


■関連記事:
【野生動物の被害額、1年間で196億円】
【バイオエタノールの需要急増で食料不足懸念高まる・政府も再確認】


(最終更新:2013/08/18)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ