半年後も64万人が避難所生活・首都直下型地震で中央防災会議が試算

2007年10月04日 12:00

地震イメージ内閣府が主催している【中央防災会議】は10月2日、第8回目の会合を開き、首都東京における直下型地震に関する試算を発表した。それによると震度6強クラスの直下型地震が関東で発生した場合、発生してから半年が経過しても東京・千葉・埼玉・神奈川などの関東一都三県で約27万世帯64万人が避難所生活を継続せざるを得ない状況になりうることが明らかになった(【関連議事録、PDF】)。内閣府や会議内の関係者において、住宅確保を必至に検討している様子が議事録からもうかがえる。

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中央防災会議は内閣の重要政策に関する会議の一つとして、内閣総理大臣をはじめとする全閣僚、指定公共機関の代表者及び学識経験者により構成されている。そして防災基本計画の作成や、防災に関する重要事項の審議等を行っている。今回の会合では「首都直下地震避難対策等専門調査会」と称し、事務局からのシミュレーションが提示され、それを元に討議が行なわれた。

シミュレーションでは「冬の18時、風速15メートル時に東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生。犠牲者は1万1000人程度」を条件として、その地震後に必要になるであろう住宅数、および供給可能な住宅数を試算した。

その結果、住宅の需要と供給のバランスは次のようになり、現状ではかなりの供給不足が懸念されることが明らかになった。

■需要162万戸(住宅を失った世帯数)に対しての供給数
・一か月後……賃貸住宅93万戸(-69万戸)
・三か月後……賃貸住宅93万戸、仮設住宅+応急修理で対応19万戸(-50万戸)
・六か月後……賃貸住宅92万戸、仮設住宅12万戸、応急修理で対応31万戸(-27万戸)

※賃貸住宅は民間のもの。阪神大震災の時の仮設住宅数は最大で5万戸弱。


ちなみに六か月後における「27万戸・64万人分の住宅不足」は、阪神大震災が発生してから半年後における避難所生活者1万7500人の36.6倍に相当する。仮設住宅数が不足しているのは、器材・材料もさることながら用地が不足していることが主要因。1600ヘクタールしか確保できず、80平米/戸で概算した場合、最大で20万戸(一か月で8800、3か月で4万4000、半年後で12万2000戸)としている。

会議では「シミュレーションは実例がないため検証が難しい」「東京の場合には実家に『疎開する』割合が多いのではないか」「賃貸住宅(民間)のを借り入れるにしても実際にはどの程度使えるのか分からないし費用の問題もある」など、シミュレーションの数値はあくまでも一例でありさまざま政策のための指針程度として考えるべきだという意見が見られた。またその一方(現状では広く公開はされていないが)映像などで分かりやすい形にして公表することが望ましいとする意見もあった。

そのほかにも「首都圏以外の周辺地域からの住宅借り入れで不足分を補ってはどうか」という話や、ライフライン・衛生面・情報統括の問題、車中避難への対応、ハイブリッドカーや空き農地の活用など、多種多彩な発言が行なわれている。

先の【廃棄予定の軍艦を路上生活者の施設に・ハワイの支援団体が計画進行中】の話ではないが、あらかじめ大規模な客船・輸送船を官民(民間と海上自衛隊)で建造しておき、平時はそれぞれの役につき、「必要な事態」になった時点で仮の住宅として使用できるようにする、といった対策も一つの案としては有効かもしれない(船、といわずメガフロートのようなものでも良い)。海に四方を囲まれた日本ならではの有効な手段として、検討すべきだろう。

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