地球温暖化対策政策・サマータイム導入には57%、環境税導入には4割が賛成

2007年10月15日 06:30

時節イメージ内閣府が10月6日に発表した【地球温暖化対策に関する世論調査】によれば、エネルギー節約に役立つといわれている「サマータイム制度」の導入には56.8%の人が賛成し、環境税についても4割以上の人が賛成をしていることが明らかになった。

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今調査は8月2日から12日の間に全国の20歳以上の男女3000人を対象に行なわれたもので、有効回答数は1805人。男女比は822対983。年齢層は60歳代がもっとも多く21.3%、ついで50歳代が21.1%・40歳代が16.8%など。テーマ全体に関わる「地球環境問題に対する関心」という問いに対しては「関心がある」「ある程度関心がある」を合わせた「関心がある派」が全体の92.3%に達しており、前回調査の2005年7月時に87.1%からさらに増加している。

「サマータイム制度の導入」賛成派は4.9ポイント増加の56.8%

「サマータイム制度」とは「夏時間(制)」とも呼ばれ、夏の期間は時刻を一時間進めて照明・冷房代の節約を果たそうというもの。欧米の多くの国で導入されており、日本でも戦後の一時期実施されていた期間もあった。また反対派の中には「早めに仕事から帰っても自宅で冷房を使えばエネルギー消費量は変わらない」「結局外の明るさで終業時間を決めてしまうから残業が増える」「生活リズムが混乱する」などの意見を主張する者もいる。

さてその「サマータイム制度」の導入の是非についてだが、今回調査では「賛成」「どちらかといえば賛成」をあわせた「賛成派」が前回の51.9%から4.9ポイント増加し56.8%と過半数に達した。「反対派」は29.2%に留まっている(前回比1.0ポイントマイナス)。

「サマータイム制度」の導入について
「サマータイム制度」の導入について

賛成・反対それぞれについてその理由を尋ねたところ、次のような意見が見受けられた。

■賛成派
・エネルギーの節約になる……62.9%
・夕方の明るい時間が増えることで行動選択肢が広がる……40.4%
・切り替え日などで環境問題や省エネを考えるきっかけになる……38.1%
・家族とのふれあい、ボランティア活動などの機会が増える……28.3%
・社会システム変更による経済効果が期待できる……24.4%

■反対派
・夕方の明るい時間が増えても行動選択肢は広がらない……42.8%
・エネルギー節約にはならない……34.1%
・明るいうちに退社時間になると残業が増える……33.0%
・体調を崩すかもしれない……31.6%
・切り替え日に混乱する……30.9%

※参考:反対派に「どうすれば賛成するか」という質問をした時の回答
・どうしても反対……24.8%
・省エネなど地球環境にプラスとなることが確実なこと……24.6%
・労働時間の延長につながらないこと……24.4%


賛成派にはエネルギー関係の意見が多く、反対派にはエネルギー関係よりも自分たちの身のまわりの対応がスムースにいかないからという意見が多い。また、反対派より賛成派の方が意見そのものの回答率が高いのも傾向の一つに挙げられる。サマータイムの導入には科学的なエネルギー節約の効果を実証すると共に、社会全体がルールに従う雰囲気や規律作りが必要不可欠なようだ。

「環境税の導入」賛成は15.3ポイント増の40.1%

「環境税」とは環境省が導入を模索している税金のことで、【詳細はこちらのページ】に説明されているが、一言でまとめると「エネルギーを使って二酸化炭素を排出するものに対して、二酸化炭素の量に応じた税金を課する」というもの。環境省では「化石燃料そのものや関連商品の値が上がるので節約が促進される」「税収増加分を温暖化対策に活用できる」「告知効果」などのメリットを挙げている。なお「増収分を地球環境に対するものに限定する」という目的税とするかについては明記されていない。

その環境税の導入の是非について尋ねたところ、「賛成」「どちらかというと賛成」をあわせた「賛成派」は40.1%。前回調査の24.8%から大幅に増加している。

「環境税」導入について
「環境税」導入について

図を見れば大体分かるのだが、前回調査でもっとも多かった「どちらともいえない」派が減った分がほぼそのまま賛成派に流れた形になっている。

賛成・反対両派にそれぞれその理由を尋ねたところ、次のような結果が出ている。

■賛成派
・導入で環境を大切にしようという気持ちが湧き上がる……51.1%
・エネルギー価格が上がれば節約につながる……36.9%
・温暖化対策には全員が参加すべきだから……36.5%

※参考:環境税の使途について
・完全目的税化すべき……70.9%
・家計や企業を補助すべき……16.9%
・一般財源化すべき……10.6%

■反対派
・家計の負担が重くなるから……63.8%
・税収増加分が政府に無駄に使われるかもしれないから……48.3%
・エネルギーへの税負担はこれ以上増やしてほしくない……21.5%


環境税導入によって、環境省の思惑通りエネルギー関連の価格は上昇する。それが「節約につながる」とポジティブに考える人もいれば、単純に「これ以上家計が圧迫されるのはかんべん」と考える人もいる。また、反対派の意見の中に「税収増加分が政府の無駄使いやばらまきに使われるのなら、地球環境云々というのも大義名分に過ぎないのではないか」といった不信感が強く現れているのも気になるところだ。


「サマータイム制度」と「環境税」の2点に絞って内閣府調査のレポートを見てみたが、両者の共通項として「反対派の意見には『導入そのものの有効性』以外に『導入効果に対する猜疑心(特にルール施行側の政府側の対応)』」が見え隠れしているのが分かる。

地球環境問題に端を発する、バイオエタノールの増産が主要因のきっかけで起きている食料品などの値上げがじわじわと家計を圧迫している中、「出来る事は少しずつでも、確実にやらなければならない」という危機感は多かれ少なかれ誰もが感じている。しかし、その危機感にしたがって色々な制度や増税をしたところで、「お上」が有効に活用してくれなければ「痛い目にあうのは自分達ばかりで事態の解決にはつながらないのではないか」という、あきらめとも怒りとも受け取れる思いが、調査結果から見て取れる。

あるいは公金の無駄使いを無くす(少なくとも減らす)ことこそが、めぐり巡ってもっとも有効な地球温暖化対策につながるのかもしれない。

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