ネット普及で生まれた「10の消費スタイル」こと「IT消費」
2007年10月26日 06:30
【野村総合研究所(野村総研)(4307)】は10月24日、ブロードバンドの普及によって生まれた新しい消費スタイルを「IT消費」と名づけると共に、この「IT消費」について10のカテゴリーに分類、それぞれの分析結果を発表した。野村総研では日本人の消費行動はこのスタイルを場面に応じて使い分け、これまでの消費パターンとは変わりつつあると結論付けている(【発表リリース】)。
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「IT消費」はブロードバンド環境の整備とインターネットの普及により、消費者がいつでも大量に情報を検索・取得できるようになったことが最大のポイントであり要であると野村総研では考えているとのこと。
具体的な「IT消費」の10スタイルは次の通り。消費者はこれらのパターン・スタイルを場面に応じて使い分けている、としている。
1.マルチウィンドウ消費:パソコン、テレビ、携帯など、さまざまな機器を駆使して情報の認知→探索→購入を同時に行うスタイル。
2.アラート消費:ネットオークションなどで、買い手側があらかじめ条件を提示し、合致する商品が出たらアラート(お知らせ)が鳴るようにIT機能を設定するスタイル。
3.テイスティング消費:インターネット上で情報を収集・比較した後で、実際にサンプルなどをお試し利用した上で、購入を決定するスタイル。
4.オーダーメード消費:インターネットを利用してオーダーメード商品を購入するスタイル。
5.ロングテール消費:ネットショッピングによって、個々の販売量が極めて少ないニッチな商品を購入するスタイル。
6.スパイク消費:インターネット上での商品情報流通によって、消費者の購買行動が急激に増加し、さらに急激に落ち込むようなスタイル。株価が急伸後に急落する現象(スパイク)から名づけた。
7.スカイロケット消費:発売前に口コミサイトなどで取り上げられた影響で、消費者の購買意欲がかきたてられた結果、発売直後から急速に販売量が増えるスタイル。
8.一点豪華消費:インターネットネットでこだわりの分野の情報を収集し、ネットショッピングでその分野の一点にだけ、積極的にお金を使っていくスタイル。
9.使いまわし消費:インターネットを利用して、リサイクル品を購入・販売するスタイル。
10.自己責任消費:インターネット上などで流れる多くの情報の中から、自分で判断しようとするスタイル。
要はインターネットを「道具」としてどれだけ活用できているか、その活用のおかげでどのような消費パターンが生じているのかをリストアップしたもの。改めて指摘されてみれば「そういえばその通り」「あるある」と再認識させられるものばかり。
アマゾンジャパンや楽天市場、ヤフーオークションなどのネット通販システムで買い物をしたり、掲示板やコミュニティサイトで情報収集をして買いたい商品を選定したり、比較サイトで情報を収集するなど、多くのネット利用者が日常茶飯事的に行なっている行動も、この「10の消費スタイル」のいずれかに当てはまることだろう。
「マルチウィンドウ消費」「アラート消費」などはインターネット独自の消費行動であるし、「ロングテール消費」はアマゾンが飛躍した最大要因として知られている。また「スパイク消費」は「スカイロケット消費」とあわせ、昨今の各種ブームにおける盛り上がりと冷え方の加速性、さらには(消費とは多少違うが)株式市場における「トレンド・ノリ市場形成」とも関連性があり、興味深い指摘といえる。
今回の「IT消費・10のスタイル」はその詳細の一部が発表会にて公開され、その様子は【IT media】などにレポートとして掲載されている。また、近日中に東洋経済新報社から『大衆化するIT消費』というタイトルで単行本化されるとの話。単に消費行動の傾向をまとめたレポートとしてだけでなく、インターネットを取り巻く環境と利用者の行動パターンを分析するものとして、注目すべき内容となるだろう。
(最終更新:2013/09/02)
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