地震や水害、避難時に携帯電話は有効か?やはり不安は電池切れと回線混雑

2007年09月30日 12:00

ネプロジャパンは9月28日、災害時の携帯電話の利用に関するアンケート調査結果を発表した。それによると、携帯電話を利用する上で不安に思うことは「バッテリーや電池切れ」「回線の混雑」が上位に挙がることが明らかになった。手元にあっていつでもすぐに遠くの人と連絡できる手段なだけに、「使える」と思っていたのに「使えない」場合の落胆度は大きく、それを心配しているようだ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2007年9月6日と7日に携帯電話のサイト経由で行われたもので有効回答数は3931人。男女比は42対58。年齢構成比は30代が45%、次いで20代が20%など。

専用伝言板の利用率はまだ低い

最近では大きな地震などが起きた際に、専用の災害用伝言板サービスが各キャリア毎に用意されている(【NTTドコモの場合】)。しかし実際にはこのサービスはあまり用いられていないようだ。「災害時に携帯電話を利用して連絡を取ったことがあるか」という問いには、直接電話やメールが大多数で、専用の伝言ダイヤルや伝言板にはほとんど利用者がいなかった。

・連絡をしたことはない……71%
・直接電話……15%
・メールを送信……12%
・携帯の災害用伝言板を利用……2%
・災害用伝言ダイヤルを利用……0%
・インターネットの災害用ブロードバンド伝言板を利用……0%


専用の手段を用いる人はまだ少なく、「連絡ができるのなら直接」と、電話やメールを利用する人がほとんど。これは利用者本人が知らなかったり、知っていても「伝えたい相手が知らなければ……」という考えから利用していない、という面もあるのだろう。

それを裏づけするのが、「8月30日から9月5日の防災週間に、災害用伝言ダイヤル・ブロードバンド伝言板が体験利用できたが、利用したか」という問いへの答え。

・利用しない/知らなかった……60%
・利用しない/知っていた……36%
・災害用伝言ダイヤルのみ利用……2%
・両方利用……1%
・掲示板のみ利用……1%


「知りもしなかった」が6割、「知ってたけど使わなかった」が4割近くという結果。実際に試してみた人は誤差の範囲でしかない。必要性を感じていれば、知っているのなら利用するのが常であるはずなので、「利用しない/知っていた」の36%の大部分は「知っていたけど、そのような事態になったら電話やメールで直接連絡入れる(。相手が知っているとは限らないし)」と考えていたものと思われる。

専用伝言板も伝言ダイヤルも、「いざ」という時に回線が混雑したりつながりにくくなった時のためのサービス。しかし「携帯電話=いつでも使える便利なインフラ」というイメージが強いせいか、「もしも」のための備えの意識は薄いようだ。

心配事は電池切れと回線混雑

それでは仮に「災害時、携帯電話を利用することになった場合、もっとも不安に思う事」は何だろう。その問いへの答えには「電池切れ」と「回線混雑」という、常日頃の利用でも頭を悩ませている問題が多数を占めた。

・バッテリー/電池切れ……47%
・回線の混雑……34%
・電波障害……12%
・特になし……2%
・リアルタイムな情報かどうかの判断……2%
・故障……1%
・その他……1%
・端末の紛失……1%


高機能化を続ける携帯電話で唯一、そしてどのキャリアも根本的な解決策を見出していないのが「バッテリー/電池切れ」の問題。小ささ・持ち運びやすさがポイントの携帯電話にとって、大きな電池をつなげるわけにはいかない。効率の良い電池の開発が急がれているが、技術はそう簡単に進歩するものでもない。

一方で液晶や赤外線、デジカメに着うたにワンセグなど、機能は次々に追加され、当然電気使用量は増加する。一度充電してからどれくらい電池が持つのか、要はバッテリーの維持時間の問題は、「充電できる場所があるかどうか分からない」災害時には非常に大きな心配事になるのも当然といえよう。


自由回答の項目で、「役立ったこと」の中に「ワンセグで情報を得ることができた」という回答があり「なるほど」と感心させられた。確かに避難先では公的機関などの情報が必要不可欠となる。昔はラジオで情報を得るのが常だったが(非常袋には必ずラジオを納めるよう指示されているはずだ)、これからはワンセグも手段として使われるのかもしれない。

一方で「ほしい機能」の中に「ソーラー充電できるようにしてほしい」や「地震予知のメール配信をしてほしい」というものがあった。前者については例えば『太陽族 eco-potソーラー携帯充電器』のような、太陽電池で携帯電話が充電できる専用周辺機器がすでに発売済みであるし、後者は【ウェザーニューズ(4825)】が先日個人向けサービス開始を発表している(【個人向け緊急地震速報サービス10月15日から開始】)。

「備えよ常に」ではないが、いつも持ち歩き利用している携帯電話だからこそ、災害時への備えも欠かさずに、情報収集もこまめにしておいた方がよいのだろう。

(最終更新:2013/09/08)

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