「参加すべきだがメディア露出以外の効果が見られない」ネット業界人が見る『セカンドライフ』像
2007年09月28日 08:00
転職支援サイト「イーキャリア」を運営するソフトバンク・ヒューマンキャピタルは9月27日、インターネット関連企業で働く20代から30代の男女400人を対象に行なった、多人数同時参加型ネッワークコミュニケーションツール【セカンドライフ(Second Life)】に関する意識調査の結果を発表した。それによると「企業は参加すべき」と答えた人が過半数に達した一方で、メディアに取り上げられる以外の効果や参加後のマーケティング効果が見られないと考えている人が6割を超えていることが明らかになった。少なくともインターネット業界においては、『セカンドライフ』は物珍しくはあるものの効果については疑わしいという認識が強いようだ(【発表リリース】)。
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今調査は9月21日から24日、インターネット経由で20代から30代の男女400人(男女比は1対1)に対して行なったもの。回答者属性はインターネット関連業界勤務で、世間一般の人よりは『セカンドライフ』への認識度が高い可能性がある。また、若年層を対象にしており、40代以降のデータが含まれていないことにも注意しなければならない。
『セカンドライフ』そのものを知っているかどうかについては全体で「よく知っている」が23.3%、「概要は知っている」が54.0%、「名前を聞いた事はある」が20.0%、「知らない」が28.0%で、7割以上の人が何らかの形で『セカンドライフ』を知っていることが明らかになった。ネット業界人に限定しているとはいえ、認知度が7割以上というのはそれなりに高い値であると考えてよいだろう。
アンケートでは他にも回答者と『セカンドライフ』の係わり合いについての調査結果が描かれているが、今回は第三者の立場から「企業の『セカンドライフ』への参入についてどう思うか」の部分にスポットライトを当ててみる。まずは「企業の『セカンドライフ』への参入」について。
企業の『セカンドライフ』への参入についてどう思うか
ニュアンスや強度の違いはあれど、57.0%の人が「企業は参入すべきである」と考えていることが分かる。その一方で「一時的なブームに過ぎないため参入の必要なし」と断じる人も3割を超えており、シビアな見方をされている面があることも分かる。
一方で『セカンドライフ』の可能性についてたずねたところ、6割以上の人が「期待薄」という認識を持っているという結果が出ている。
『セカンドライフ』の可能性についてどう考えているか
やはり「一時的な盛り上がりに過ぎない」と達観している人が4割いることや、今後ユーザー数は増えてもマーケティング効果は望めない人を合わせると否定派が6割を超えていることを考えると、『セカンドライフ』のマーケティング効果の将来は明るくない、という推測をしている人が多数派を占めていることが分かる。逆に考えれば、3割強も「『セカンドライフ』はマーケティング効果の面でも伸びる可能性がある」と肯定的に考えている、と表現することもできるのだが。
現状で参入している企業に対しては「メディアで取り上げられるなど効果はある」と答えた人は8割以上に登っているものの、それ以上の効果はないと答えている人も4割以上いるなど、「メディア露出の効果はあるがそれ以外は……」という認識が多数を占めているようだ。
現状で参入している企業に関する効果について
「メディア露出で十分効果がある」と答えた層は、逆に言えばそれで満足してしまうわけで、それ以外の効果はあまり考えていないという解釈もできる。当初から「メディアで紹介されれば内部でのマーケティングとかは必要ない」という方針ならそれもアリだろうが、それでは『セカンドライフ』である必要もあまりなくなってしまう。単に目立つものならば何でもよいだけであり、まさに「一時的な盛り上がりに過ぎない」という意見を肯定することになってしまう。
『セカンドライフ』の課題としては「ハイスペックのパソコンが必要」という参入そのもののハードルの高さがもっとも多く寄せられており、次いで「世界の国によって対応している法律が違う」「どうやって楽しめば良いかわからない」「画像が日本人にあわない」など厳しい意見が寄せられている。逆に言えばこれらのうち手をつけられる点を改善することで『セカンドライフ』は多くの日本人に受けいられるだろうし、類似サービスも日本での展開に期待が持てることになる。
一方、今後利用ユーザーや人気が伸びてマーケティングにも期待ができそうなサービスはという問いには、「動画ストリーミング」がもっとも多く過半数の指示を集めている。次いでSNSがつき、その次にようやく『セカンドライフ』などの仮想空間が位置する結果となっている。しかもほぼ同数に「音楽配信」「オンラインゲーム」「ブログ」が位置している。少なくともインターネット業界の人たちにとって、『セカンドライフ』などの仮想空間サービスは、まだSNSや動画ストリーミングと比べると魅力不足と見られているようである。
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