新聞は高齢層、雑誌は若年層、ウェブニュースは壮年層……三者三様の「読みモノ」たち

2007年09月17日 19:00

時節イメージ文化庁が9月7日に発表した2006年度における国語に関する世論調査の結果によると、「読む」対象としてもっとも身近な新聞や雑誌、そしてインターネット上のウェブニュースについて、全体では新聞が8割近くの人に読まれているのに対し、雑誌は4割強、ウェブニュースは3割程度でしかないことが明らかになった。また、年齢層別でそれぞれの媒体に対する購読傾向に大きな違いがあることも判明した(【発表リリース】)。

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今調査は2007年2月14日から3月11日、個別の面接調査方式で行われたもので、調査対象数は16歳以上の男女3442人、有効回収数は1943人(56.4%)。

全体では新聞を読む人が約8割と圧倒的に読む人が多いのに対し、雑誌は4割代前半にとどまっている。

全体・全年齢層での「新聞」「雑誌」「ウェブニュース」の購読率
全体・全年齢層での「新聞」「雑誌」「ウェブニュース」の購読率

さらに「ウェブニュース」では購読率は3割強にまで減り、「新聞」の半分にも満たないことが分かる。

しかし各媒体ごとに購読率を見てみると、それぞれ読まれる年齢層に大きな違いがあり、一概に「新聞は支持が厚くウェブニュースは軽視されている」とは言い切れないことが分かる。まず「新聞」を見てみると、次の通りとなり、40代以上から圧倒的な支持を受けていることが分かる。

「新聞」における各年齢層での購読率
「新聞」における各年齢層での購読率

「新聞」は高齢者の支持が厚く、若年層の支持はあまり取り付けられていない。特に10代・20代においては「読む」「読まない」の割合がほぼ同数であり、新聞の浸透度が薄いことが分かる。もちろんこのデータだけで「若年層の文字離れ」を結論付けるのはお門違いなので注意が必要。

続いて「雑誌」。年齢による差は「新聞」ほどではないが、年齢を経るごとに読む層が減っているのが分かる。

「雑誌」における各年齢層での購読率
「雑誌」における各年齢層での購読率

20代が「雑誌」を読むピークという結果が出ているが、これは青年誌やグラビア・ファッション誌など多くの雑誌がこの年齢層をターゲットにしている現在の雑誌市場を反映してのものだろう。

ニーズに関する調査は行なわれていないので不明だが、「高齢者向けの雑誌を出せば新たなニーズをつかめるのでは?」という思惑も浮かんでくる。しかし実際にそのようなターゲット向けの雑誌の企画は大変難しく、これまでこの層向けを狙った漫画誌などはいずれも鳴かず飛ばずで終わってしまっている。漫画誌ではなく、その他の雑誌でないとこの層にはアピールしにくいのだろう。

もっともジェネレーション・ギャップ(年齢層ごとの食い違い)が大きく出ているのが「ウェブニュース」。20代・30代が特に購読率が高く、6割前後を占めている。

「ウェブニュース」における各年齢層での購読率
「ウェブニュース」における各年齢層での購読率

30代の購読率がもっとも高いのは、仕事上で使う必要に迫られてのことだろう。速報性や資料作成時の素材集めには新聞よりも適しているウェブニュースは、特にIT系や金融系などスピーディーな仕事をしている人にとって、必要不可欠な媒体である。

他方40代以降は購読率が急激に低下し、60歳以上になると「全く読まない」(単に「読まない」ではない)人が8割以上という極端な数字が出ている。さらに「新聞」「雑誌」には無かった「分からない」という回答も40代以降に見受けられることを見ると、インターネット上でのニュース購読に対し、中堅以降、特に高齢者層には強いアレルギーがあるものと思われる。


時の流れと共に各年齢層に所属している人たちは上の層に移り、新しい年齢層の構成員になる。具体的には現在30代の人は10年も経てば全員が40代になり、40代の人は50代になる。年をとることで新たに「新聞」や「雑誌」を積極的に読むことも増えるだろうが、「ウェブニュース」への閲覧頻度が激減することはあまり考えにくい。

さらに最近では壮齢層でも積極的に携帯電話を使う人が増えている。それらの「携帯族」がインターネット経由でウェブニュースを見る機会が増加することを考慮すると、現在の「新聞は高齢層、雑誌は若年層、ウェブニュースは壮年層」という三者三様の「読む対象」構成も、少しずつ変化を生じてくるのだろう。

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