相場を左右する発表や事件相次ぐ昨今、どこまで情報に過敏になるべきか

2007年09月17日 12:00

ライブドア・マネックスショックや村上ファンドショック、最近ではアメリカの雇用統計ショックなど、特定のイベントで株価や為替が猛烈な変動をすることはよくある話。前者二つは事前に察知のしようもないが(前兆はあったが)、後者は各種スケジュールをチェックしていれば「何かが起きるかも」という予見はできた。また、金曜は「身動きの取れない土日に何かがあるかもしれない」といった理由で手持ちのポジションを整理している人も多い。それら「○×に備えて」のような、慎重型投資判断はどこまで可能なのか色々と考えてみた。

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まず金曜や祭日前の日。相場が休みの日に何か国際的な問題が起きて、市場が大きく揺れる可能性はある。連休ともなれば「急落(急騰)は分かっているのに身動きとれずに頭を抱える」確率は2倍、3倍に増える。

休みの間の不確定要素を気にしなくても、例えばSQ日当日は相場が非常に大きく動く可能性がある。最近では「SQのある週の水曜日は大きく下げることが多い」という説が広まっていて、実際そのパターンに該当する場合が多い。

他にも「夏季・冬季の長期休暇前には主に外資がポジション整理をするので売りが先行する」「外資ファンドの決算月が近づくと帳簿の調整のため、外国人比率の高い銘柄は下げる」「夏休みや冬休みの間は薄商いになるから相場がコントロールされやすく、予想もつかない値動きをする」という話はよく耳にする。

これら「市場内の噂」を別にしても、先のアメリカ雇用統計の発表や、FOMCでの発言(+利率の変更の発表の有無)、鉱工業生産や消費者物価、住宅着工数、FRB議長の発言などアメリカでの各種指数の発表、日本国内でも日銀の政策会議やGDP、工作機械受注などの各種経済指数の発表、さらには国内外を問わず大手企業の決算発表など、実に多種多彩な「市場を動かしうる出来事」は毎日のように予定されている(【たとえばトレーダーズ・ウェブ】の一覧を見ればそれは理解できるばす)。

それでは投資家は、各種発表で波乱に巻き込まれないようにするには、いつ投資すればよいのか。この問いに対する一つの回答が「投資家はこの月/曜日にどのような投資判断をすればよいか」という小噺(はなし)にある。

我々はいつ投資すべきか……月次編
1月……外資新規ポジション構築の見極めで買い控え
2月……決算期を控えて様子見
3月……年度末権利落ちの警戒で様子見
4月……時間差ゴールデンウィーク暴落を警戒して買い控え
5月……ゴールデンウィーク暴落警戒で買い控え
6月……大雨や早期台風売り警戒で買い控え
7月……猛暑や早期台風被害に備えて買い控え
8月……夏期休暇や円高警戒で買い控え
9月……外資決算売りの時間差警戒で買い控え
10月……外資の決算売り本格化で買い控え
11月……クリスマス商戦不振警戒で様子見
12月……外資の年末ポジション変更警戒で買い控え

我々はいつ投資すべきか……曜日編
月……月曜は比較的買われる日のため割高に推移する。ここから買い向かうのは損。またニューヨーク市場が週明け市場展開で急落する可能性がある。持越し厳禁。
火……水曜暴落説が根強い。翌日大幅下落の可能性あり。こんな日に持越してはならない。
水……「暗黒の木曜日」の恐怖感からニューヨーク市場が弱い可能性。心理的リスクを持つ曜日に持ち越す必要はなし。
木……週末にかけて手仕舞い売りが出やすい。安易に持ち越すのは厳禁。
金……売りが先行し比較的安めに推移する。しかし土日の持ち越しリスクを考えればポジションを手仕舞っておくのが賢い選択。


言葉の入れ違えや表現の差異によって色々なバリエーションがあり、これはあくまでも一つの説に過ぎないが、主張したい結論は変わらない。それぞれの項目はそれなりに説得力があるのだが、これらをすべて信じてしまうと「投資はするな」という結論に達してしまう。まるで毎日鉄板の上で焼かれるタイヤキか、毎月何らかのイベントで酒が飲めるあの歌のようである。

黙っていても先のリンクのページなどにあるように、毎日相場を変動させる要素となりうる発表は予定されている。さらに記憶に新しいところでは安倍首相の突然の辞任宣言のように、相場を大きく動かす突然の発表も舞い込んでくる可能性は高い。何らかの株式を保有していれば、その銘柄の各種IRやポジティブ・ネガティブな各種適時開示情報で株価がぶれる場合も多々考えられる。

市場動向に対して精度の高いアンテナを張り巡らせることは重要である。また、過去の事例を参照してその事例が再び起きるようなパターンを見つけ出し、そのパターンを踏襲することを予見して変動に備えるのも賢いやり方だ。とはいえ、過敏に反応しすぎては、結局何もできなくなってしまう。

何事もほどほどに、中庸が肝心。自分なりの「水準」を定めて、多すぎるノイズに惑わされないようにする。投資を決める際の情報の判断もまたしかり、ということなのだろう。

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