たばこを吸うと手当がもらえず、採用試験すら受けられない時代に・たばこ喫煙事情
2007年09月16日 12:00
たばこの煙に関する問題が色々と論議され、喫煙者には肩身の狭い世の中になりつつある。たばこと肺がんをはじめとするさまざまな病症との密接な相関関係(一部は因果関係も)や、喫煙者だけでなく周囲にも同様の影響を及ぼすリスクが指摘されているのだから、仕方の無い話なのかもしれない。今回紹介する事例も、喫煙者には耳の痛い話。ひとつはたばこを吸わないことでお給料が増える会社、そしてもうひとつはたばこを吸っていると採用試験そのものが受けられない会社である。
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●たばこを吸わないと「非喫煙手当」がもらえる会社、サトー
ラベルやシールの製作会社【サトー】では「非喫煙手当」を導入している。これは「たばこを吸わないことに感謝する」という意味合いがあり、毎月2000円が支給される仕組み(【説明ページ】)。
たばこを吸っているかどうかの判断は社員からの自己申告に基づいている。禁煙をして手当を受け取る、あるいは喫煙を断念して手当をカットする場合、その都度「自分で」人事部に申請する。申請した場合、「非喫煙シール」が手渡され、社員証に貼って公表する仕組み。
社員の健康管理にも前向きに対処したいという企業姿勢が垣間見える取り組みといえよう。
「非喫煙手当」については他に【レッドフォックス】や【アクチューニ】などいくつかの会社で見受けられる。一方である会社において、「非喫煙手当」を受け取っておきながらたばこを吸っていた社員に手当てを返還させるは労働基準法違反の疑いがあるとして、東京労働局の中央労働基準監督署が是正勧告をしたという話もある(2005年5月)。これは労働基準法上の「違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」という決まりに抵触したらしい。
●たばこを吸うと採用試験そのものが受けられない会社、星野リゾート
つづいて紹介するのは、リゾート運営会社の【星野リゾート】。【この会社の採用情報ページ】へアクセスすると、まず最初に「あなたはタバコを吸いますか?」と聞かれる。
「あなたはタバコを吸いますか?」
「NO」ならそのまま素直に採用情報を閲覧・確認できるが、「YES」つまりたばこを吸っていると答えると「喫煙者は採用いたしておりません」とのメッセージと共に、3つの事由「作業効率」「施設効率」「職場環境」の面で競争力を弱めるとの説明を挙げている。そのページでは、同社が脱煙プログラムを企業の戦略として推進していることを説明している。
ただしここで救済手段が用意されていて「入社時にたばこを断つ誓約をすることは可能か」と問い合わせてくる。ここで「喫煙します」つまりYESを選べば、採用情報のページへアクセスできることになる。
【脱煙プログラムを推進する理由】の説明ページでは上記3項目に加え、「お客様の満足度」も加え4つの要素からこのプログラムを実施していることを解説している。
「非喫煙手当」の事例にもあるように、規約上で注意をしないと法的な問題が生じる場合もある。しかしながら星野リゾートの説明にある「たばこを吸わないお客様にとって、たばこをすう人のたばこのにおいは、結構気になるものです。お客様の側でにここちよいサービスを提供すためには、私たちはたばこを吸うべきではないと考えます」という文言は、お客様を相手にする接客業では特に重要な点を指摘しているようにも思える。
多くの喫煙者にとってたばこは欠かせないもの。手当や就職を採るか、たばこを取るか。つらい選択を迫られる人もいるかもしれない。
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