値上げで禁煙者は増えるのか・諸外国に見る成功例と失敗例

2007年09月14日 06:30

たばこイメージこれまでに何度か喫煙や禁煙、副流煙の問題などを取り上げてきたが、先日気になるテーマに関する検証結果が掲載されていたので、ここで紹介することにする。そのテーマとは「たばこを値上げすれば禁煙者を増やすことはできるのか」。【goo リサーチポータルに先日掲載された】もので、このページの「3ページめ」に結果が掲載されている(キャッシュ取り込みで一気に読み込んで、瞬時に切り替えるという面白い表示方法なのでご注意)。

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「たばこを●×円値上げすれば、税収はあまり変えずに喫煙者を減らせる」というリサーチについては過去に【「たばこ1箱1000円で9割が禁煙を”考える”、が……」京大大学院教授が学術論文発表】【ファイザー、「500円以上なら禁煙する」意見が過半数などの調査結果報告】などで記事にしたが、不確定要素が多すぎて結論は出せないというのがあらかたの結論だった。諸外国の事例を元に、1箱500円や1000円にすればたばこによる収税の減少を気にせずに喫煙者を減らせるらしいという話ではあったのだが。

元記事ではたばこの価格が高い国と、それらの国の喫煙者率の比較が掲載されている。まとめてみると次のようになる。()内は男性/女性の喫煙率(%)。元記事の一覧から抽出した。

■たばこの販売価格上位リスト(gooリサーチポータル)
・ノルウェー(31.0/32.0)(7.56ドル……870円前後)
・イギリス(27.0/26.0)
・アイルランド(32.0/31.0)
・アメリカ(25.7/21.0)
・オーストラリア(21.1/18.0)
・シンガポール(26.9/3.1)
・香港(66.9/4.2……中国のデータを使用)
(中略)
・デンマーク(32.0/29.0)(ここまでで500円以上)

■たばこの販売価格上位リスト(北海道新聞)
・イギリス(27.0/26.0)
・アメリカ(ニューヨーク州)(25.7/21.0)
・オーストラリア(21.1/18.0)
・シンガポール(26.9/3.1)
・フランス(38.6/30.3)
・ドイツ(39.0/31.0)
・イタリア(32.4/17.3)
・日本(52.8/13.4)


というところである。元記事では足りない部分があるので、当方で(取得年数は違うが)【北海道新聞の記事】で補完した。アメリカはたばこに対する増税を続けており、データが新しい北海道新聞の方では(州によって、だが)上位になったようだ。

たばこを値上げしても
喫煙率を減らすのは難しい

元記事でも「中には値上げで喫煙率を減らした国もあるが、それだけで必ず喫煙率減少を成し遂げられるわけではない」と言及しているように、たばこの価格をつり上げてもその国における喫煙率が減るわけではないことが分かる。恐らくは吸う本数を減らして値上げに対応しているのだろうが、きっぱりと「禁煙」するまでには至っていないと思われる。

今記事の制作にあたり、「たばこ1箱あたりの販売価格を1万円に切り上げ、輸入たばこも同等の価格にまで税金を付加。これで喫煙率が1/10以下に減らなければたばこの税収も減らさずに済む」という論文を見つけることができた。一見無茶苦茶な主張のように見えるが、そこまでのショック療法をしないと「たばこ価格で喫煙率をコントロールする」ことは難しいのかもしれない。


■関連記事:
【「たばこは国家財政に貢献している」という話は本当か】


(最終更新:2013/08/19)

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