生活が先か貯蓄傾向が先か……「生活が水準が低い」人ほど貯蓄せずに「今を楽しみたい」傾向が強い
2007年09月13日 08:00
内閣府が9月10日に公式サイト上へ公開した2007年版【国民生活に関する世論調査】によると、自分の生活水準が低いと考えている人ほど「毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたい」(きりぎりす派)が多く、生活水準が高い人ほど「貯蓄や投資など将来に備えることに力を入れたい」(あり派)が多いことが明らかになった。
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今調査は7月5日から22日、20歳以上の男女1万人を対象に個別面接方式で行なわれ、回収率は60.9%。男女比は2847対3239で、やや女性の方が多い。
今件は先の【「生活に悩みや不安」過去最高の7割・「将来に不安」3割……若年層への不安が特に増加】とも連動する話。先の記事によると、調査対象全体ではきりぎりす派こと「毎日の生活を充実させて楽しむ」が60.5%(過去最高)、あり派こと「貯蓄・投資など将来に備える」が30.2%となり、きりぎりす派が増えていることや、若年層では逆にあり派が増えていることを説明している。
今調査のデータに、「自分の生活水準をどれくらいと思うか」という設問との兼ね合わせの結果も含まれていた。つまり、「自身が考える自分の生活水準ランキング」ごとの「あり派かきりぎりき派」かの回答が出ている。その結果をグラフ化すると次のようになる。
生活水準(自己判断)毎の「あり派」「きりぎりす派」の違い
非常に興味深いことに、自分の生活水準が下だと思う人ほど、きりぎりす派、つまり「毎日の生活を充実させて楽しむ」人の割合が多く、あり派「貯蓄・投資など将来に備える」が少なくなることが分かる。
この結果から、いくつかの可能性が推定できる。どの推論が正しいのか、あるいは複数が正しい可能性もあるが、残念ながらこのデータからだけでは確定付けることは出来ない。
・「自分の生活水準が低い」と実感している人は、「どの道貯蓄など出来ないのだから、せめて今の快楽を楽しもう」と考えている。
・「貯蓄や投資など将来に備える」生活が出来ないから、結局「自分の生活水準が低い」状況におちいってしまう。
いわば「卵が先か、ニワトリが先か」の議論と似たような話で、生活水準の低迷が先か、貯蓄・投資性向の低さ(金銭面における計画性の無さ)が先かということになる。あるいはどちらが先なのかは別にしても、両者が互いに深い関係にあることは容易に想像ができる。それとも「貯蓄する余裕などない」からこそ、自分の生活水準を低く見積もっているのだろうか。
「本当のお金持ちほどお金の使い道には厳しい(ケチである)」という話をよく耳にする。その逸話を逆説的に説明しているのが「ケチだからこそお金持ちになれる可能性がある」という言葉。今記事の裏返し「自分の生活程度を上級と思っている人ほど、貯蓄や投資など将来に備える」という回答も、それに通じるものがあるのかもしれない。
(最終更新:2013/08/19)
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