玉突き衝突で恐竜絶滅? ネイチャー誌で新学説発表
2007年09月08日 12:00
【BBC NEWS】が伝えるところによると、かつて地球を「支配」していた恐竜たちが突然絶滅してしまった原因としてもっとも有力視されている「地球へ約6500万年前に落下したいん石」が、その9500万年前にあたる今から1億6000年前、2つの小惑星が衝突して出来た破片の一つであるとするコンピュータ解析結果が発表された。イギリスの科学誌「ネイチャー」9月6日号で掲載された。この説が正しいとすれば、いわばビリヤードの玉のように弾かれた巨大な小惑星の破片が、地球に舞い降り、恐竜たちの運命を決定付けたことになる。
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今回の発表を行なったアメリカ・コロラド州の研究機関Southwest Research Instituteの研究員、Bill Bottke博士は「1億年前から2億年前のいん石群の増加、そして今回推定された小惑星同士の衝突、さらには恐竜の運命を決定付けた大型のいん石との間には深い関係がある」とBBC Newsに語っている。
「1億年前から2億年前の間」には地球上には多くのいん石が降り落ちたことが知られている。この増加に対して前々から注目されていたが、研究グループではこの「いん石群の増加」を、火星と木星の軌道の間にある小惑星群内のBaptistina小惑星や、その周辺の小惑星たちと関係があると推測した。そしてコンピュータで運動を解析したところ、1億6000万年前に、元々直径170キロほどもあった小惑星に、別の小惑星(直径60キロほど)が衝突。数千もの破片を生じさせたという結果が出た。
チクシュルブクレーター
(Wikipediaより)
この衝突で生じた破片のいくつかはいん石として月、火星、金星に衝突。うち1つは1億800万年前に月にぶつかり、幅85キロものTycho impact craterと呼ばれる巨大クレーターを作成したとしている。また、恐竜の絶滅の直接原因として最有力視されている、6500万年前に今のメキシコ・ユカタン半島に落ちたいん石(その後は幅180キロものチクシュルブクレーター(Chicxulub crater)として知られている)もその一つと推定した。研究グループではこのクレーター内で発見されている岩石の成分が、Baptistina小惑星のそれと非常によく似通っていることもそれを裏付ける一要因であるという。
もしこの「小惑星の玉突き衝突」がチクシュルブクレーターのいん石、そしてそのいん石が恐竜たちの運命を決定付けたとするのなら、「恐竜たちの多くが生まれ出でる1億6000年前に、すでに6500万年前のいん石の衝突、そして恐竜たちの滅びが定められていた」ということになる。
タイムスケールの大きな推論ではあるが、同時にある種の哀愁を感じざるを得ない話といえよう。
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