【更新】パソコンや冷蔵庫にも有効! 10年ゴキブリを近づけない鋼板開発

2007年09月21日 06:30

ゴキブリイメージ【JFEホールディングス(3332)】の子会社であるJFE鋼板は9月20日、【アース製薬(4985)】【石原薬品(4462)】と共同で、ゴキブリなどを寄せ付けない防虫機能がついた鋼板「人に優しくムシに厳しい、防虫鋼板(商品名:サニータ)」を開発し、販売を始めたと発表した([発表リリース])。「退治する」のではなく「嫌ってもらって寄せ付けない」という発想での素材開発は珍しいものとして注目を集めている。

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ゴキブリ対策には殺虫剤などを使った「駆除」が一般的だが、薬剤を用いるために安全性の問題が指摘されている。また、効果を持続させるために繰り返し利用しなければならないため、手間もかかる。そこで今回JFE鋼板などでは「駆除する」から「入ってほしくない場所に寄せ付けない」へと発想を転換し、「サニータ」の開発・商品化へ結びつけた。

「サニータ」にはゴキブリなどの昆虫が避ける性質を持つクロメートフリー系特殊皮膜が亜鉛めっき鋼板表面に盛り込んである。これに昆虫が触れると触角、脚、口器などから極微量の防虫剤部分に触れて、感知し、異常行動を誘起し、防虫鋼板表面から逃げ出してしまい、何度か接触すると「サニータ」自身に寄りつかないようになる。リリースではこれを「ゴキブリのような昆虫類にも学習能力があると推定される」と述べている。

この虫が避ける成分は環境にも優しく、安全性の高い、高融点の物質を使用しているため、無味無臭で、揮発減少がなく(蒸発しにくい)、長期間効果が持続。促進試験では10年相当の効果継続が確認されている。また、腐食しにくく溶接も容易なので、水分の多い場所に利用される商品(冷蔵庫や電子レンジなど)にも利用が可能。

メーカー側ではパソコンや電話交換機、家電商品、自動販売機などに活用できるとしている。リリースには具体的な価格は記載されていないが、一部報道では通常の鋼板よりも3~5%高い、8万3000円~9万4000円/トンを予定しているとのこと。

退治するのが面倒なら、最初からゴキブリなどの昆虫が嫌がる成分を持つ素材で創ってしまえばよいという発想はなくもない。しかしそれを現実のものにした開発力は頭の下がる思いだ。単に「忌避性のあるもの」ならいくらでも思いつくだろうが、その中から「安全性・環境への配慮・持続性」などの条件を満たすものを導き出すには、かなりの苦労を要したものと考えられる。

今後「サニータ」を用いた商品がどのような形で市場に出回るのか、楽しみにしたいところだ。

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