景気回復はサラリーマンからは遠く……給与は9年連続減少、格差も拡大方向に
2007年09月28日 08:00
国税庁は9月27日、2006年における民間給与実態統計調査を発表した。それによると民間企業で働く人が2006年中に得た平均の給与は434万9000円であり、1998年から9年連続で減少していることが明らかになった(【発表リリース、PDF】)。景気回復が叫ばれて久しいが、少なくともサラリーマンの給与には「景気の回復」どころか「景気の冷え込み」が訪れているようである。
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今調査は基本的に2006年12月31日現在における給与所得者を対象としている。ただし日雇い労働者、各種公務員、源泉所得税の納税がない事務所の従業員は対象外となっている。
調査結果によると給与所得者そのものは前年比で9万人減少の4485万人(年間を通じて、民間企業のみ)であり、給与の総額は195兆0153億円で前年比0.6%減少。平均給与と前年比伸び率について1996年以降リストアップしてみると次のようになり、1998年以降連続して低下していることが分かる。
平成8年(1996年)以降の平均給与・年齢
平均給与の低下もさることながら、気になるのは平均年齢がじわじわと上がる傾向にあること。この10年強ほどで平均給与が落ち込んでいるにも関わらず、平均年齢は2歳近く上がっている。通常、年功序列制などで年齢が上がれば給与も上がるはずなのだが、年齢と平均給与の伸びが逆行する傾向が見られる。年齢構成比などが今回の調査結果からは見られないが、先の労働経済白書のデータなどと照らし合わせて考えると「全体的な給与水準の引き下げ」に加え「特に高齢年齢層への給与引き下げ・嘱託化」が推定できる。
また、企業別・給与額別に違いを見て見ると、
■資本金10億円以上の大企業を100とした場合の指数
・平均……78/46
・個人事業主……50/18
・資本金2000万円未満……75/22
・2000~5000万円……76/36
・5000万~1億円……75/43
・1~10億円……84/61
(順に給与/賞与)
■給与階級別構成人数・比率
・1000万円超……224万2000人(前年比4.4%増)
・300万円以下……1740万8000人(前年比2.9%増)
などとなり、企業規模単位での、あるいは給与所得そのものにおける格差が拡大していることがわかる。
これを一概に「格差社会」云々と断じることは出来ない。しかし一つの現象として重く受け止めるべきだろう。
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