大量花粉で大影響なスギ林は9.5万ヘクタール・10年間で半減計画
2007年09月02日 12:00
林野庁は8月31日、今後の花粉発生源対策の推進方策について発表した。それによると首都圏・中京圏・京阪神地域の首都圏などへ花粉を飛散させているスギ林のうち、非常に強い影響力を与えているところは暫定計算で9.5万ヘクタールに及んでいることを明らかにした。同時にこの9.5万ヘクタールへ重点的な対策を進め、10年間で約5割減を目指す目標も打ち立てている(【発表リリースページ】)。
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林野庁では今年の4月6日に花粉症対策のプロジェクトチームを立ち上げ、特に花粉症がひどいとされている首都圏・中京圏・京阪神地域のJR東京・名古屋・大阪各駅の半径10キロで2005年・2006年の2月から4月に計測した花粉飛散量、風向きなどの気象データとの関係を分析し、スギ林の影響度を「非常に強い」「強い」「やや強い」「弱い」の4段階に分類。
この調査の結果、首都圏だけでも花粉を飛散させているスギ林は116万7000ヘクタール。そのうち1立方メートルあたり20個以上の花粉を飛散させ、涙やくしゃみが止まらず、不眠の症状などを引き起こす「非常に強い」段階の森林は5.5万ヘクタール。京阪神で同段階のスギ林は4.0万ヘクタール、中京圏はゼロだった。
林野庁では「非常に強い」段階のスギ林を中心に、花粉が少ないスギ花粉への転換の促進として協力金を交付したり、苗木供給量を増大させたり、花粉の無い・少ないスギ品種の開発を促進させるなどの対策を立案。来年度予算案の概算要求に26億円を盛り込んでいる。
【データ粉飾問題】の件もあるので、林野庁の主張を丸ごとうのみにするのもどうかと思う人も少なくあるまい。また、スギ林を伐採すればスギ花粉が減って、花粉症が減るかどうかについては中長期的な因果関係の調査研究を進めていく必要もあるだろう。
しかし同時に「元から断たなきゃダメ!」という有名な言い回しにもあるように、まずは花粉発生源を減らさねばという考えが一理あるのも事実。林野庁にはまず打てる手を打ち、その成果に期待しつつ、さらなる手法を模索してほしいものだ。
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