投資指数は上昇。三か月ぶり…野村證券(8604)、2007年8月計測分の個人投資家動向を発表

2007年09月06日 19:30

株式イメージ【野村證券(8604)】の金融経済研究所は9月5日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2007年8月発表分、PDF】)。市場全体への懸念が広がり、様子見ムードが強まっているようすがうかがえる。

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今調査は1000件を対象に8月22日から23日に行われたもので、男女比は67.7対32.3。年齢層は40歳代がもっとも多く33.6%、ついで30歳代が27.9%、50歳代が20.9%。金融資産額は1000万円~3000万円がもっとも多く23.9%、ついで500万円~1000万円が21.5%、200万円未満が20.2%と続いている。

1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く21.7%を占めている。次いで6か月から1年未満が19.5%、1年から2年未満が17.3%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く48.9%と約半分を占めている。ついで配当や株主優待が23.2%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めているのはこれまでと変わらない。先月よりさらに利益成長への訴求が増えている。利益成長の回答者だけで過半数に達しそうである。

詳細はレポートを直にみてほしいが、概要的には

・投資指数は上昇。三か月ぶり
・株式取引では「様子見」の姿勢が強まる。
・市場、心理要因や海外要因に関する懸念が広まる。
・魅力的な業種は「素材関係」が7か月連続。
・日本国内株式の他に、FX(外国為替証拠金取引)への興味関心が高まる。


という形に。8月はあの「大急落」を体験したわけだが、「じきに急落前の水準にまで戻る」というのが大勢の考えのようだ。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」だが、先月から引き続きトップ・二位・三位とベスト3に変化がない。例の原発の問題が生じているものの、割安感からか【東京電力(9501)】が顔をのぞかせているのが注目に値する。一方で前回上位にいきなりランクインして注目を集めた【コマツ(6301)】は表中から姿を消している。悪い銘柄ではないのだが……。

1位……[トヨタ自動車(7203)]
2位……[任天堂(7974)]
3位……【新日本製鉄(5401)】
4位……【東京電力(9501)】
5位……[ソフトバンク(9984)]


上位を占める銘柄はそれだけ注目を集めていることであり、それだけ今後も活発に売買が行われる可能性が高い。上位であろうと得票差にはさほど違いがなく、誤差の範囲で順位が変動する可能性はある。が、トップの[トヨタ自動車(7203)]は相変わらず株価自身が青天井であっても二位以下に倍以上の差をつけてその座を維持しており、「何はともかくまずトヨタ」という人が多いことがうかがえる。当アンケートが比較的投資経験が長く、投資に関して重視する点で「安定した利益成長」を挙げている人が多いことを考えると、同意できるものがある。

先月の段階では「日経平均は1万8000円台を天井に、アメリカのサブプライムローンの問題が世界各地に飛び火して急落、春先に並ぶ急カーブを描く形で値が落ちている。しかも今後、さらに下落する可能性を秘めており、市場への不信感も高い(以下略)」などとコメントしているように、8月急落の影響が投資家の投資心理にどのような影響を及ぼすのか懸念があった。しかし実際には多くの投資家にとっては「驚いた、今後少々慎重にならざるを得ないと実感した」という程度であり、さほど投資心理には影響を及ぼしていないようにも見える。

これも今調査の対象が、比較的富裕層で中長期投資を基本スタンスとしており「株価に一喜一憂しない」という態度の人が多いからかもしれない。

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