有力広告主の6割以上がネット広告を使用……日本のネット広告市場動向
2007年09月08日 12:00
シード・プランニングは9月6日、インターネット広告の使用状況調査に関するレポート【2007年版インターネット広告の市場動向調査】の中で、日本の有力広告主の61.4パーセントがすでにインターネット広告を使用していることを明らかにした(【発表リリース】)。特に情報・通信や不動産・住宅設備など、タイムリーな情報展開に目ざとい分野での広まりが目立つ。
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同調査はインターネット広告関連事業者約30社と日本国内の有力広告主企業約300社を対象に、訪問・電話によるヒアリングや、電話・ファックスなどによるアンケート調査で行われたもの。今回の「インターネット広告を使用しているか否か」については電話アンケートで実施された。
この調査によれば、日本の広告費上位企業への問い合わせに対する有効回答社数303社のうちインターネット広告を使用している企業は186社。使用率は61.4%となり、全体平均で6割を超えていることが判明した。
業種別インターネット広告使用率
平均値より高い業種は「情報・通信」の82.1%、「不動産・住宅設備」の72.4%、「金融・保険」の70.0%の3業態。逆に「流通・小売業」は50.7%、「食品業」は50.0%と平均より低く、特に「エネルギー・素材・機械業」は32.0%と低率の結果が出た。
「有力広告企業主」の数が少ないので、割合には多分の誤差が生じている可能性はあるが、それでも一社ごとの広告費の割合は大きい(何しろ「広告費上位企業」だ)。多少の誤差など弾き飛ばすような絶対感・圧倒感がある。
●「製鉄売ります」とネット広告で出されても……
展開率が低い業種は
まだネット広告による
メリットを見出せていない。
少しでも早く正確な情報を第三者に伝えて自社商品の購入意欲を高めてもらう、自社商品自身もインターネット上でやり取りされることが多い「情報・通信」や「金融・保険」の分野でインターネット広告が普及しているのは容易に理解できる。また、「不動産・住宅設備」は商品単価が高いことや商品の性格上インターネットを活用しやすいことから、広告展開(における新技術の導入)にも積極的であり、今回の結果も納得のいくもの。
一方で「流通・小売業」や「食品業」「エネルギー・素材・機械業」は、ブランドイメージのアップ以外にはなかなかインターネット(上の顧客層を)直接自社業務に結びつけることが難しく、通常の広告と比べたメリットを見出しにくいのだろう。インターネットの先に自分達が相手にしているお客が居ないからだ。
例えばインターネット広告で「●×製鋼の製鉄は品質抜群、価格もお値打ち、トン単位でお届けします」と映し出されても、ターゲットとなる顧客がその広告を見ているとは思えない。
逆に事故の後の謝罪や問題商品の回収のお知らせなどのように、「不特定多数に素早く情報を告知したい」といった場合など特定状況でしか、現状ではメリットがないと判断しているのかもしれない。
●既存営業力の弱い中小企業にこそインターネット広告の活用を
しかし例えば中小企業同士のBtoB(企業対企業)において需要と供給を結びつけるマッチングシステム(オークションサイトのような「お見合いシステム」)は各業界で少しずつ普及・運営されるような動きが出ている。普段の営業活動でなら想像もつかなかったようなニーズが日本中、世界中から舞い込んでくる可能性もある。
今回の調査対象となった「広告費上位企業」では自前の自負すべき営業部隊の活躍があるので、あまり必要性は感じられないだろう。しかし営業力の不足している中堅企業においては、「流通・小売業」や「食品業」「エネルギー・素材・機械業」においても、今後インターネット広告の活用が推し進められるものと思われる。
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