20代 辞書は使わず ケータイで 漢字調べの 主流「変換」

2007年09月08日 12:00

モバイルイメージ文化庁は9月7日、2006年度における国語に関する世論調査の結果を発表した。それによると漢字そのものが思い浮かばない時に調べる手段として、20代は79.3%、10代後半や30代でも6割以上が「携帯電話の漢字変換で調べる」と回答したことが明らかになった。若年層では辞書、さらには電子辞書代わりに携帯電話が使われている実情が浮き彫りにされている(【発表リリース】)。

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今調査は2007年2月14日から3月11日、個別の面接調査方式で行われたもので、調査対象数は16歳以上の男女3442人、有効回収数は1943人(56.4%)。

今調査結果ではさまざまな興味深い結果が明らかにされているが、今回取り上げるものは「漢字が書けない時にどのような手段で調べるか」について。選択肢の中から複数回答で答えてもらった。全体としては「本の形になっている辞書」がもっとも多く60.6%、次いで「携帯電話の漢字変換」が35.3%、「ワープロ、パソコンの漢字変換」が21.3%と続いている。一応全体では「辞書(本)」が主流という結果が出ている。

■全体の割合
・本の形になっている辞書……60.6%
・携帯電話の漢字変換……35.3%
・ワープロ、パソコンの漢字変換……21.3%
・電子辞書……19.4%
・インターネット上の辞書……10.1%


しかしながら年齢層別に見ると、大きな違い(ジェネレーション・ギャップ)が生じているのが分かる。「本の形になっている辞書」は年齢の高まりと共に割合が高く、逆に「電子辞書」は16歳~19歳がもっとも高い。一方、「携帯電話の漢字変換機能」は20代前後できなり高い。

年齢層別その1
年齢層別その1
年齢層別その2
年齢層別その2

「電子辞書」が10代後半のみで多いのは、電子辞書を物珍しさから購入したり、あるいは進学などのお祝いでもらい、手元にあるので使っているパターンが多いのだろう。受験勉強のツールとして使用しているのかもしれない。

さらに高齢層になると、「本の形になっている辞書」の利用頻度が高まるのと共に「ポータブルで意味・漢字だけを簡単な操作で調べられる」お手軽ツールとして、再び電子辞書のニーズが高まっているという興味深い結果が出ている。パソコンや携帯電話よりもハードルの低い電子辞書や本の辞書を選ぶ、ということなのだろう。あるいは携帯電話・インターネット世代のひとつ前の世代、といった意味も含まれているのかもしれない。

一方「携帯電話の漢字変換」を選択した人は10代から30代に多い。特に20代は8割近くが携帯電話を選んでいる。電話や電子メール、インターネットなど多種多彩な機能を持つ携帯電話だが、メールなどを打ち込む際に必要となる漢字変換機能をそのまま辞書代わりに使う、知恵モノ的な選択といえるかもしれない。


携帯電話での漢字変換機能では「自分が調べたい言葉に当てはまる漢字が、変換された漢字で正解かどうかを確かめることができない」「表示されている漢字が簡略刑な場合がある」などのデメリットもある。【経済産業省「電子商取引等に関する準則」を読み解く:(番外編)リンクを「張る」か「貼る」か】の話にもあるように、自分で思い違いをしている使い方をそのまま反復使用してしまうかもしれないし、間違った漢字そのものを覚えてしまう可能性もある。

携帯電話はいつも手元にあって、すぐに使える便利なデジタルツール。しかし万能ではない。携帯電話が示すものがすべて正しいとは限らないし、正しいかどうかを確かめるには自分自身で調査をしなければならない。携帯電話という便利な道具に振り回されて、後で「間違った漢字を覚えていた」と恥をかくことのないよう、他のツールも併用するように心がけた方が、後々の自分のためになるのだろう。

もっとも今後、パソコンや一般の辞書なみの機能を持った漢字変換機能が、携帯電話の進歩によって搭載される可能性もないではないが……

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