『セカンドライフ』で個人認証システムを試験導入、本導入はまだ未定
2007年08月31日 08:00
多人数同時参加型ネッワークコミュニケーションツール【セカンドライフ(Second Life)】を運営する【Linden Lab(リンデンラボ)】は8月29日、『セカンドライフ』内に個人認証システム(Identity Verification)の導入を行なった。現在ベータ版の利用が可能となっている(【発表リリース、英語】【参考記事:CNET Japan】)。主に成人向けエリアに未成年者が入れないようにするのが目的。
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リリースや参照記事によると、今個人認証システムはアメリカのAristotle社が提供したもので、ID認証そのものは自由。運転免許証やパスポート、国民IDカードの番号などを入力し、個人の情報を照合する(要は入力されたデータが本人のものであるかどうかを確かめる)ため、既存の公的データベースとの間で二重チェックが実施される。
個人認証システムを利用しないと、制限付エリアへは足を運べなくなる。もちろん個人認証をしなくともそれ以外の一般エリアでの活動は今後とも自由。
厳密化には必要不可欠。
しかし世界中が相手のため
現実国家毎の違いへの
対処方法が最大の課題。
ただし具体的にこの個人認証システムをどのように運用していくのかをはじめ、世界規模で広まっている『セカンドライフ』において有効に認証するシステムをいかに提供していくのか(例えば日本人がアクセスする場合、日本の各種個人データをリンデンラボが公的機関にチェックして認証することができるのか)など、未決定な部分は多い。正式版運用開始も時期未定。
リンデンラボ社のマーケティングとコミュニティ開発部門の担当で副社長のRobin Harper氏は「今回の導入は『セカンドライフ』の発展のためには重要かつ欠かせないステップだ(This is an important and necessary step in the development of Second Life.)」と述べた上で、匿名性はオンライン上のコミュニティ上の長所であると同時に問題点でもあったとし、「今回の個人認証システムが導入されれば安全で信頼できるバーチャルワールドとバーチャルコミュニティを作り出すことが可能となる」と語っている。
自己申告だけでなく第三者機関のデータによって個人認証を行なうことは、特に年齢制限を設けているコンテンツにおいては必要不可欠。ただ、元記事でも指摘しているように、アメリカ以外の国において個人認証のための公的機関のデータベースとの参照が、現状では事実上不可能であるという問題が大きなハードルとして立ちはだかっている。
例えばパスポートの番号を入力させるような仕組みを作っても、その番号が本物かどうかはやはり公的データを使わないと分からない。国単位で、その国独自の認証方法を全部用意するという手もあるが、経費などの点から現実的ではない。
逆に認証が容易なアメリカやその他一部の国に限定して(その国でのみ個人認証を行い)、制限エリアへのアクセスを可能にする手もあるが、それでは「世界中どこからでもアクセスできる」ネットワークゲームの意義が半減してしまう。また対象外の国のプレイヤーからは大きな反発を招くことだろう。
インターネットによって世界規模の人を相手にするようになり、まさに擬似「地球世界国家」を形成するようになった『セカンドライフ』。現実の国家と同じように超えねばならないハードルをどのように対処するのか、その発想や手腕を注意深く見守りたいところだ。
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