株価急落の影響で郵便局販売の投資信託でも多くの評価損が発生
2007年08月26日 12:00
【asahi.com】が伝えたるところによると、郵便局経由で投資信託(投信)を購入した顧客のうち、全体の2割近い8万5000人の口座で今月中旬の株価下落に伴い、20万円以上の評価損が発生していたことが明らかになった。ご存知の通り次の週(20日~24日の週)にはやや株価も持ち直して損失は縮小する傾向にあるが、日本郵政公社の内規に従い、これらの顧客に対しては各郵便局側で説明を進めているという。
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【10月3日から郵便局で投資信託の発売開始】にもあるように日本郵政公社では2005年10月から投信の販売を開始。これまでに売り上げは7月31日現在で販売金額1兆0018億5000万円、口座数は44万8045口座に登る(【発表リリース】)。
【郵便局でも販売を始めた投資信託とは?】で解説したが郵便局経由で販売される投信は、元々郵便貯金など元本割れしない金融商品に慣れている顧客が買い求める場合が多く、「投資リスク」に対する初心者であることが多い。それを考慮して郵便局で販売される投信は比較的リスクが低いものが用意されているが、それでも今回の株価下落で大きく運用評価を減らすことになった。
元記事によると株価が急落した8月17日(参考:【8月17日の日経平均は今世紀二番目の下落率・今後の下値目安はどこに!?】)時点で、5種類の投信が評価額において7月初旬から16~18%下落し、20万円以上の評価損を抱える顧客数が8万5000人ほどに達したという。その後株価が持ち直したおかげで、21日現在では6万人程度にまで減った。
日本郵政公社では、購入時から20万円以上の評価損が出た顧客に、評価額や市況の概要を説明することを内規で決めているという。このため、週明けの20日から各郵便局の営業担当が顧客への連絡を始めているが、特に説明不足が指摘されるなどのトラブルは無く、販売状況も目立った落ち込みは見られないとのこと。
【郵便局販売の投信の専門ページ】の右下にある「基準価額」から、現在販売中の16種類の投信の24日現在における基準価額を見てみると、
原価割れ(1万円未満)……9銘柄
原価超え:~+10%(1万円~1万1000円)……3銘柄
原価超え:10%超(1万1000円以上)……4銘柄
となっている。株価が戻していることによりかなり回復したように見えるが、それでもまだ半分以上が原価割れの状態にある。ちなみに24日段階でもっとも成績がナニなのはフィデリティ・日本配当成長株投信で9062円、好成績なのは大和ストックインデックス225ファンドで12014円である。その差約3000円。元本に比すると約3割の差が出ている。
運用側の手腕にもよるが、今後株価が堅調に推移すれば郵便局販売の投資信託が「元本割れ」して騒ぎが起きる、という懸念も収まるだろう。しかし株価はいつ何時でも下落する可能性を秘めているし、それ以上に投資信託も金融商品である以上、元本割れをはじめとする「損の可能性」を抱えている。それは郵便局で販売していようが、株式よりリスクが低いと言われていようが、否定できない事実である。
貯金や預金より利回りが良いから、郵便局で販売しているから、という理由だけで投資信託に飛びつき「利子が高い預貯金のようなもの」としか思っていなかった人は、これを機会に「投資信託とは、金融商品とは」という根本的な問題を再確認してみるべきだろう。そして利回りが良い分だけ、今回の株価急落に伴う「元本割れ」のようなリスクを背負っていることを、あらためて認識しよう。
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