パートから正社員への転職増加・雇用情勢の改善か
2007年08月23日 08:00
厚生労働省は8月22日、2006年における雇用動向調査結果を発表した。それによると一度離職して一年以内に再就職したいわゆる「転職入職者」のうち、「パートから正社員」にステップアップした人は9.4%と前年より0.8ポイント上昇したことが明らかになった。逆に「正社員からパート」にランクダウンせざるを得なくなった人は8.9%の横ばいで推移し、正社員の増加という雇用情勢の改善が現れた結果となっている(【発表リリース】)。
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今調査は上半期は2006年7月、下半期は翌年1月16日から2月15日の間に行なわれたもので、対象事業所数は1万3807。平均有効回答率は77.0%で、集計入職者数は8万5734人。集計離職者数は9万1724人。
「パート」と「正社員」間の人の行き来を表した「転職入職者の就業形態間移動状況」は次の通り。
転職入職者の就業形態間移動状況
自営業者からの転職入職者も存在するため、合計して100%にはならないことに注意なければならない。ともあれ、「パートから正社員」になる人が増えて、「正社員からパート」になる人が減ったということは、「パートから正社員への労働者の移行」が進んでいるという現われでもある。
ただし全般では8.9%で変わらないものの、男性だけに調査対象を絞ると「一般」から「パート」になる人が「パート」から「一般」以上に増えていることに注意する必要がある。「一般」から「パート」は「リストラ、あるいは自主退社せざるを得なくなった男性従業員が次の正社員雇用の場を見つけることができず、パートやアルバイトに従事している」数字と容易に想像できる。
世帯の大黒柱な場合が多い男性従業員において、「一般」から「パート」という辛い状況にポジションを移さねばならなくなった人の増加傾向が見られることは、一概に「雇用情勢の改善」とも言い切れないという考え方もできよう(あるいは定年退職を迎えた高齢者が、再就職先にパートを選んでいるのかもしれないが)。
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