ロシア戦略爆撃機の長距離偵察に英ユーロファイター戦闘機が初スクランブル発進

2007年08月23日 08:00

英ユーロファイター戦闘機イメージイギリス国防省及びイギリス空軍(Royal Air Force、以下まとめてRAFと略)は8月21日、ロシアの戦略爆撃機ベアH型が8月17日に北大西洋上のイギリス領空に接近、これに対しRAF側は新型戦闘機として配備されているユーロファイター「タイフーン」(Eurofighter Typhoon)2機をイギリス南部のLincolnshire基地からスクランブル発進させ、これを追尾していたことを発表した。発表では今回のスクランブルが新型機タイフーンの初出動であることと共に複数の写真を公開しているが、それ以上の詳細については一切明らかにしていない(該当リリース)。

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ロシアでは先日【ロシア、戦略爆撃機による24時間パトロール飛行を再開・15年ぶり】でも報じたように戦略爆撃機によるフルタイム出動態勢を復活させるなど、軍事方面での威圧行為を強めつつある。またイギリスとロシアの間にはすでに多数のメディアで報じられているように、リトビネンコ氏に関する事件から外交官追放合戦に発展するなど対立状態にあり、緊張が高まっている。今回のロシア側による挑発的行為により、イギリス内部でのロシアへの反発はますます強まるものとして、懸念する声もあがっている。

一方今回迎撃機としてスクランブル発進したタイフーン(ユーロファイター)は西側ヨーロッパ諸国などで共同開発された新型戦闘機で、一応航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の候補にも挙がっている機体。RAFでは現在トーネードF3型戦闘機を主力戦闘機として用いているが、これに差し替えられる形で2006年3月から逐次装備変換が行なわれている。今回のスクランブル発進はこのタイフーンが配備されてから初の「非訓練における出動」だとのこと。




イギリス空軍から公開された、今回迎撃任務に当たったタイフーンと対象となったベアH型戦略爆撃機

一方今回RAF側から「ベアH型」と呼称されたロシアの戦略爆撃機はTu-95(ツポレフ95)(Tu-95MSベアH型)で、その歴史は古く開発自体は1950年代にさかのぼる。すでに生産自身は終了しているが、その長大な航続距離(1万5000キロメートル)から今でも現役機(H型は巡航ミサイルAS-15を搭載可能)として活躍中。最近では7月17日に【防衛省から発表があったように(PDF)】伊豆諸島付近への偵察飛行も敢行している。

今回スクランブル発進したイギリス機とロシア機の間でどのようなやりとりがあったのか、あるいは何もなかったのか、またロシア側から今件に関する発表がないので飛行していたベア機がどのような装備だったのかなどは不明。

ロシア側の行為が通常の偵察任務であったとしても両国間の緊張度が高まったことには違いない。今後の動向を慎重に見極めたいところではある。


■関連記事:
イギリスが予算不足で引き取り困難のユーロファイター戦闘機、日本などに「代わりに購入して」と打診(2008/08/21)】


(最終更新:2013/08/19)

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