バフェット氏が住宅金融大手の一部を買収の可能性との報・しかし真相は……

2007年08月22日 06:30

株式イメージ8月20日付けのウォールストリートジャーナル誌が、世界的に著名な長期投資家のウォーレン・バフェット氏がアメリカの住宅金融大手カントリーワイド・フィナンシャル(Countrywide Financial Corp)の一部を買収するのでは、という内容の観測記事を掲載した。この報道が、一連のサブプライムローン(低所得者向け住宅融資)問題を好転させる材料の一つになるのではないかとして、東京市場でも肯定的に受け止められたようだ(【概等記事】)。

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カントリーワイド社はアメリカの住宅ローン会社の中でも従業員5万4000人を抱え、最大手に属する。当然のことながら昨今のサブプライムローン問題で少なからぬ損失を受け、コスト削減のために従業員削減を計画していると報じられたばかり。

ウォールストリートジャーナル誌では、「サブプライムローン問題で株式市場は大混乱に陥っている。個人投資家は市場での買い注文に及び腰で、ヘッジファンドたちは持ち株を一刻も早く、それこそ特売セールをしてでも売りたがっている。このような機会こそ、バフェット氏にとってはまたとない『買いのチャンスである』」としている。そしてバフェット氏も

「それが正しい買物であるのなら、イメルダ・マルコス夫人よりも素早く買い集めるよ
(I can spend money faster than Imelda Marcos when things are right)」


と述べたという(ちなみにマルコス夫人といえば数千足の靴をそろえるなど、買い物好きでぜいたくの限りを尽くした人物として知られている)。

ここ数年間は個人投資家やヘッジファンドが株式を熱狂的に買い集めていたせいもあり、バフェット流投資法からいえば「割高」な状態にあった。結果として購入用資金500億ドル(日本円で5兆7000億円あまり)はほとんど手付かずのまま。

肝心の「(サブプライムローン最大手の)カントリーワイド・フィナンシャルの一部を買収するのでは」という部分は、実は「could be a buyer for parts of Countrywide Financial」、つまり「カントリーワイド社の株式を購入"するかもしれない"」という記事執筆者の推測に過ぎず、バフェット氏は一言も言及していない。実際、カントリーワイドそのものの事業だけでなく、住宅ローンの債権(焦げ付きはあるといってもそうでない部分も多く存在する)、さらに傘下のモーゲージ担保証券に魅力を感じる可能性はないとはいえない。しかし具体的な企業名は(当然のことながら)バフェット氏は言及していない。さらに、「その他に急落に巻き込まれたお買い得な個別株を購入するかもしれない」とも記事執筆者は語っている。

要は「バフェット流投資法でいえば今は買いのタイミング。実際に氏がどの銘柄を買うかなど分かるはずも無い。でも(自分が思うに)あれとかこれがお買い得だよネ」という程度の話でしかないわけだ。

バフェット氏が将来を見越して株価が急落を続ける住宅ローン最大手を買収する可能性は、第三者的視点で見ればそれなりにありそう。もちろん氏が「正しい買物である」と判断すれば、の話だが。もちろん現時点では可能性として、でしかない。

それよりもむしろ、観測(あるいは憶測)記事にここまで振り回されたことから、市場そのものが「サブプライムローン問題」に相当敏感になっていると確認できた、それを収穫と見るべきかもしれない。

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