【更新】パーム油をバイオ燃料に転換、政府もマレーシアに技術の面から協力
2007年08月18日 12:00
[読売新聞]が8月17日に伝えるところによると、日本政府は16日、地球温暖化対策の一環として、マレーシア政府に対しバイオ燃料生産の技術協力をしていく方針を決めた。アブラヤシを原料とする植物油「パーム油」をバイオ燃料に転換する技術開発の協力を2008年度にも開始するという内容を、23日から安倍晋三首相がマレーシアに訪問する際に取りまとめる合意文書に盛り込むという。
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バイオ燃料にはアメリカなどで増産が続けられているとうもろこしなどから得られるバイオエタノールの他に、ヤシの実が原料のパーム油などの食用油から作られるバイオディーゼルなどがある。これらは原材料の植物が二酸化炭素を吸収しているため、使用時の二酸化炭素排出量はプラスマイナスゼロとして計算される。
パーム油は2005年の段階で世界中では3300万トン生産、そのうちマレーシアとインドネシアが8割、マレーシアだけに限っても45%の生産量を誇る。マレーシア政府ではこの資源を活かすため、バイオ燃料化と普及促進を図っているが、精製技術の遅れから製品レベルの向上に難儀しており、日本政府に協力を求めていた。
今件については(いずれも正式な企業側リリースはないが)すでに【新日本石油とトヨタ、ヤシの実から出来るパーム油燃料の開発に着手】や【トヨタ(7203)と新日本石油(5001)、2009年からバイオ燃料を開発、生産開始】で断片的に情報が伝えられており、今回報じられた内容とあわせると次のようになる。
・2006年5月にアブドラ首相が来日した際に、小泉前首相との対面の中で「バイオ燃料技術の関係強化」を求め、協力への道筋が開かれる。
・日本の民間企業は[トヨタ自動車(7203)]【新日本石油(5001)】が参加。ただし、中心となるのは経済産業省所管の独立行政法人【新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)】。
・マレーシアの国営石油会社【ペトロナス(PETRONAS)】と手を組む。
・ペトロナスがパーム油を提供、新日石が精製技術を提供、トヨタが自動車燃料として使用する際の検証。
・2008年から技術提供開始、2009年から現地生産の見通し。
・事業規模は数十億円の見通し。
首相のマレーシア訪問で両国政府間によって合意文書が調印されれば、関連する団体や企業からも正式なリリースが出ることだろう(これまでに報じられている内容と多少の違いが生じる可能性もある)。絶対量としては海藻の栽培によるバイオ燃料化計画などと比べれば微量かもしれないが、すぐに実現しうる案件であることや、日本だけでなく相手国にとってもプラスになる内容であるのは評価できる。積極的な取り組みと成果に期待したいところだ。
(最終更新:2013/08/19)
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