この動画、資料によれば2004年9月に南アフリカのクルーガー(Kruger)国立公園内Pretoriuskopキャンプ近くで撮影されたもの。最初はバッファローの群れとライオンの群れを交互に写していた撮影者。ファインダーに映るのはバッファローの群れが水飲み場に行こうする様子と、それにライオンの群れが気が付き、猛撃をかけるライオンたち(2分前後)。

ところが一頭の子どものバッファローが逃げ遅れ、川にライオン共々落ちてしまう。ライオンたちは一斉に、その落ちたバッファローに襲い掛かる(2分20秒前後)。ライオンの鋭い牙と爪の餌食になり、もがき苦しむバッファロー。次々におこぼれに預かろうと、川べりにやってくるライオンたち。

ライオンたちにもみくちゃにされ、撮影者のため息も聞こえる中、ずるずると陸上に子どもバッファローが引きずり出され一巻の終わりか……と思われた次の瞬間(3分30秒ほど)、川中から突然ワニがやってきてバッファローを川中に引きずり下ろそうとする。ライオンたちとワニとの間で繰り広げられる、バッファロー綱引き。

思わぬ横槍が入ったものの、なんとかワニとの格闘にも打ち勝ち、陸に引き上げた子どもバッファローを「ゆっくりといただこう」と思ったライオンたちだったが、彼らの目の前にあらわれたのは、その子どもバッファローが属していたバッファローの群れだった。数十頭はいるだろうか、一群となってライオンたちに立ち向かい、子どもを救おうとするバッファローたち(4分40秒ほど)。

バッファローは怒りに鼻を鳴らして、次々にライオンたちに襲い掛かる。はじめに一頭のライオンが追いやられ、残りのライオンと子どもバッファローたちを遠巻きに包囲するバッファローたち。そして一頭、また一頭と鋭い角でライオンたちを弾き飛ばすバッファロー。撮影者の「Oh!」という声もリアリティを増す効果音としてすら耳に届く(5分50秒ほど)。

まだ必至に逃げ出そうともがいている子どもバッファローの姿が確認でき、そしてついにバッファローの群れの中に戻ることができた(6分30秒ほど)。残りのライオンたちも多数のバッファローに追い詰められ、たじたじの状態に。あとはもう、ライオンたちは確固撃破されちりぢりばらばらになり、追いやられてしまった。

一連の動画がこちら。

すでに1200万回近い閲覧数と1万3000件を超えるコメントという、とんでもない数字が表示されているが、ライオンに襲われた子どもバッファローがワニにも襲われ、そして親バッファローたちの助けを受けてどうにか難を逃れるという、ドラマ仕立てのようにすら見えるこの内容を見れば、数字がこれだけ跳ね上がっているのも理解できよう。

投稿者のコメントや動画そのものを見る限り、難を逃れた子どもバッファローがその後生き延びたかどうかは分からない。ただ、NHKの放送で登場していた関係者は「分からないが生き延びていてほしい、きっと生き延びているはずだ」と期待を込めてコメントしていた。

正直、ライオンにあれだけ爪と牙でもみくちゃにされ、さらにワニにかまれた以上、あの場を無事に脱出できてもその後生き延びられたかどうかとなると、かなり難しいものと思われる。それでも今回公開された動画で、まさに命からがら「劇的な救出劇」で助けられた様子を見るにつけ、やはり関係者同様に「生き延びてほしい」と思ってしまうものである。