「ニート」が「ニート」たるのはシャイな性格とちょっとした不幸がきっかけ

2007年08月09日 08:00

先日【フリーター・ニートは減少中、ただし年長フリーターは……労働経済白書から】で「ニートは減少中」という厚生労働省の調査結果を報じたが、そのニートについて定義の要素の一つとなっている「働いていない」ことについて、本当に働くのが嫌いなのか、他に要因があるのではないかに関する調査が厚生労働省によって行われ、6月末日にその結果が報告されていることが明らかになった。ニートに関する実態調査は過去にほとんど類がなく、今後注目を集めるものと思われる。そのデータからは「ニート」と呼ばれる人たちが、性格などをきっかけに仕事の過程でつまずきを経験し、「ニート」状態になったことがうかがえる(【発表リリース】)。

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今調査結果は6月28日に発表された「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究」という題目によるもの。厚生労働省から委託を受けている機関や「若者自立塾」にて現在支援を受けている人計827人、ニート状態を脱した28人などを対象に聞き取り調査を行なっている。

厚生労働省の労働経済白書によれば「ニート」は「若年無業者」と表現され、「年齢15~34歳で学校卒業者であり、未婚。さらに家事・通学をしていない」フリーターの定義に加えて「非労働力状態である(アルバイトもパートもしていない、あるいはするつもりもない)」人と定義されている。そして2006年に入りわずかではあるが前年の64万人から62万人へと減少の傾向を見せている。

詳細は元資料を参照してほしいが、概要をまとめると次のようになる。

・学歴はさまざま。ただし、長期欠席経験や不登校など、学校教育時代に「つまづき」を経験している人が多い。
・79.0%が就労経験持っている。しかしアルバイトなど簡単な仕事が目立ち、1週間以内に辞めてしまった事例も44.1%に及ぶ。
・「引きこもり」「精神科などの治療経験がある」が約半数。元々メンタル面で問題がある場合と、ニートになって問題が生じたケースの両方がある。
・対面コミュニケーションが苦手。苦手と答えた割合は「面接に通る」75.1%「面接で質問に答える」64.8%「職場で友達をつくる」64.6%など。
・仕事への苦手意識も強い。
・ニート状態そのものに精神的な負担。「仕事をしていないとうしろめたい」82.8%、「社会や人から感謝される仕事がしたい」82.5%「どこでも通用する専門技能を身につけたい」80.4%。一方で「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」80.9%など、不安も。
・「受動性」「生きていくことへの欲求の希薄さ」「対人関係の希薄さ」がニートの共通の認識。
・アルバイトなどの仕事でつまずきを経験して自信を失い、苦手意識が増幅されてますます就労が困難になるという、「マイナススパイラル」が傾向の一つとして見受けられる。


「ニート」は世間一般には「親のすねかじりをして気ままな日々を暮らす、居場所固定版風来坊・怠け者」「若年寄」的なイメージが強い。しかし実際にはそれは偏見であり、元々性格的な面で損をしている人たちが、つまずきを繰り返していくうちに社会から隔離されたように感じ、マイナスな心境が増幅され、閉じこもってしまう様子が見受けられる。

また対人関係など集団生活が苦手な要素も大きい一方で、自分自身の現在置かれている立場に危機感を覚え、それがさらに精神的な負担になっていることも分かる。そのような思いや状況を各個が昇華(この場合は社会的に認められない行動や意思を、価値ある行動に移して精神面でも安定を求めるもの)できるよう、周囲の人たちはもちろん、各機関が手ほどきをしたり、その手法について研究する必要があるのだろう。

(最終更新:2013/08/20)

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