ポイントカードの有効期限計算は「最後に使った日」から? 「最初に使った日」から?
2007年08月08日 19:35
先日掲示板(コメント欄)でポイントカードに関する質問を読者からいただいた。それを元に色々調べたり他の方の意見を聞いてみると、ポイントカードに関する実情をかいま見ることができた。良い機会ではあるのでここに簡単にまとめてみることにする。テーマは「ポイントカードの有効期限はいつ?」というものだ。
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ポイントカードに関する質問は次の通り。
ミスドのポイントカードの有効期限が「入手日」から1年なんですよ。これ酷いので記事にして。
初回ご利用日から1年だ。でも入手日=ご利用日か…
(8月2日、かむさん)
質問なのか魂の叫びなのか微妙に判断のしにくいところではある。
●ポイントカードの有効期限をあらためて見直してみる
質問されてあらためて自分のポイントカードを見直してみた。確かに「(最終)利用日」の日付はあるが、「有効期限」と連動していない。裏を見てみると次の表記がある。いわく、「本カードの累積ポイントの有効期限は、初回ご利用日より1年間です」。正直、気が付かなかった。今のいままで、他のポイントカードと同じように、「最後に利用してから1年間」かと思っていた。
そこであらためて、自分の手持ちの「ポイントカード」について有効期限を調べてみた。以下はその一部。
・カメラのさくらや……最終購入日から2年間
・ヨドバシカメラ……最新購入日から1年間
・ビックカメラ……最終利用日から1年間
・ウェルシア……最終利用日から1年間
・ヤマダ(ダイクマ)……最終購入日から1年間
・メンズプラザアオキ……最終来店(利用)から3年間
という形。ペナルティは一様に同じで、期間を過ぎるとポイントカード(に連結する自分のデータ)のポイントがすべて失効してしまう。つまりゼロになるというもの。また、掲示板でこのやりとりを見ていた別の読者からは「有効期限がないカードはネットカフェによるもの」「”発効日”から1年間というのは割と普通かもしれない」という意見もいただけた。
ウエルシアカードの場合。
ドラッグストア・ウエルシアの
カードの場合。
最終利用日から1年間が
有効期限となる
統計学上あまりにも調査母数が少ないので「一般論」とすることはできないが、自分の手元のを見る限り、「ポイントカードで”最初の発効日からポイントの有効期限を算出する”タイプのものは少数派」ということになる。「少数派」であり、「ありえない」というわけではない。
ただし、この点についてやはり問い合わせが多いのか、ミスタードーナツのポイントカードの説明ページにも大きく説明書きがしてあった。どうやらそろそろサービス開始から1周年を迎え、手持ちのポイントカードの有効期限が切れる人が増えてくるからのようだ。いわく、
注目! お手元のミスドクラブカードを、ご確認下さい。
ポイントの有効期限は、初回発効日より1年間です。
※ 期限を過ぎると無効になります。期限内に、ぜひご活用ください。
※ カード本体は、引き続きご使用いただけます。
※ カードの新しい有効期限は、次のカードご利用日から1年間です。
とのこと。理屈としては次のようになる。「1月1日に新規にカードを作りポイントを入れてもらう。するとそのカードではその年の12月31日が有効期限となる。仮に12月23日に大量に(クリスマスパーティ用か何かで)ドーナツを買いこんでそのポイントカードに登録しても、一週間強しかそのデータの有効期限は無い」ということになる。少々切なくて、理不尽な気がする。
ちなみに有効期限を失効したポイントカードはムダになるのではなく、次のポイント登録用の台紙となる。あらためて買物をしてデータを登録すれば、その日から再び1年間の有効期限のカードとして使える(ただしそれより前のポイントの繰越は無い)。
●カードの有効期限ルールの違いによるメリット・デメリットは?
当方の手持ちの大部分のカードのように「最終利用日から1年間」とする場合と、ミスタードーナツのように「最初の登録データから1年間」とした場合、それぞれどのようなメリットがあるのか考えてみた。
■「最終利用日から1年間(2年、3年……)」の場合
○ポイントを失効してしまう可能性が低くなる(客)
○ポイントを失効しないよう、定期的(期間内毎)に来場せざるを得ない気分になる(企業)
○ポイントの有効性をアピールし、大いに活用してもらえる・できる(客・企業)
×ポイント喪失による機会損失での「利益」を得られる可能性が低くなる(企業)
■「最初の登録データから1年間(など)の場合
○ポイントをムダにしないよう、こまめにお店に通いたくなる(企業)
○ポイント喪失による機会損失での「利益」を得られる可能性が高い(企業)
×ポイント喪失の可能性が高くなる(客)
一つ「?」と思われるであろう点について補足説明。「ポイント喪失による機会損失での「利益」を得られる可能性」というのは、次の通り。ポイントの発行は事実上価格の値引きやサービスの付加をポイントの形に換えている。本来なら他のサービスや値下げを受けられる分、(場合によっては何割増かされて)ポイントの形でサービスを受けている。
ところが100人が100人、すべてのポイントを使うわけではない。統計を取っていないので詳細は不明だが、何人かはポイントカードをなくしてしまったり、期限を失念して手元のカードのポイントをムダにしてしまうだろう。さらに有効期限が「最初の登録データから1年間」のカードの場合には、手持ちのポイントカードのポイントを使い切れずに残してしまい、失効してしまう可能性も高い(最低利用可能ポイントが50ポイントからなのに、手持ちのカードには32ポイントしかない場合など)。
これらの場合、本来対価として得られるはずだった「値引き分」「追加サービス」を、お客側は手に入れることが出来ず、損してしまうことになる。逆にいえば企業側は失効したポイント分だけ「お得」なわけだ。
あらためて列挙してみると、「利用期限を最初の登録から何年間」に限定した場合、「最終利用日から」のタイプのポイントカードと比較してお客側のメリットは何もない。締め切りに急かされてお店に行きたくなるのは事実だが、それはお客のメリットではなくて企業のメリット。先の例などのように「大量にポイント獲得したのに一週間しか有効期限がないの!?」などという、悲劇を生み出す可能性もあることを考えると、腑(ふ)に落ちない部分もある。
●ポイントカードは「俺ルール」の世界
しかしながら、これはこれで仕方が無い。
すでに【経済産業省、ポイント商法のルール化を模索へ】などで取り上げ、要点もまとめてあるが、現行において各ポイントカードのシステムに関して規制やルール、消費者保護の法律は無い。あくまでも自主規制、(業界他社と比較した)常識の範囲内でという倫理観に基づいた取り決めをそれぞれの発行元が決めている程度。当初は単なる「オマケ」程度のものだったのが、最近では(マイレージなどとの互換により事実上)換金性すら生じているものがあるにも関わらず、だ。
企業が独自に設定できる。
いわば「俺ルール」なデジタル通貨。
黙って従う利用者だけが
甘美な特典を受けられる
一言で例えるなら、ポイントカードはそれぞれの企業の「俺ルールに基づいた擬似通貨」。「使う以上は当方が決めたルールに従ってもらう。イヤなら使わなくてOK。規制する法律も特に無いし」とタカをくくっている……と表現すれば分かりやすいだろうか。
もちろん実際にそんな態度を取ろうものなら消費者から総スカンを食らうので、見た目はそんなことはしない。が、先に某大手通販サイトグループで利用者からすれば傍若無人的な対応をしたため、社会問題化したような実例もある。海外では経営不振に陥った会社がポイントの利用規制を急激に強めて使いにくくしたり、あるいはポイントそのものを無効にしてしまったという話も聞く。日本似たような事象が起きないという保証はない。だからこそ経済産業省でもルール化(法整備)を急いでいるわけだ。
「古今東西、ポイントカードは
見えない魔力を秘めている」
と力説する『らき☆すた』の
主人公にしてオタクな泉こなた。
説得力のあるセリフといえる。
『セカンドライフ』のような完全兌換性のポイント(的な)サービスは別としても、日本国内でも携帯電話と連動した各種電子マネーが急速に普及するなど、デジタル化したポイント・擬似通貨が急速に広まり、利用する機会も増えている。ある漫画で「ポイントカードは見えない魔力を秘めている」と表現されたように、ポイントカードには貯金と同じような蓄積性や、ポイントでなければ交換できないアイテムがあるなど、現金の値引きとは違った魅力もある。
それと共に、それぞれの企業による「俺ルール」がデジタル化ポイント・擬似通貨に浸透しつつあるのも否めない。「気に食わないなら使わなくてもいいよ」という態度を取られても、インフラとして提供されている以上、使わないわけにはいかない場合が多いのでシャクではある。
不備や問題点があれば消費者、場合によっては株主などの立場から堂々と意見を述べると共に、法的な整備を早急にまとめてもらうよう、関係各庁に期待するしかないのだろう。
まずは手持ちのポイントカードを再度確認してみよう。有効期限は「最終利用日から1年間」だろうか。それとも……。
(C)美水かがみ/らっきー☆ぱらだいす
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