フリーター・ニートは減少中、ただし年長フリーターは……労働経済白書から
2007年08月07日 06:30
【厚生労働省】が8月3日に発表した2007年度版「労働経済白書」(労働経済の分析)によると、正規社員への就職を求めない、あるいは現在パートやアルバイトとして働いている15歳から34歳の「フリーター」の数は2003年以降減少傾向にあることが明らかになった。地域的な格差はあるものの、正規雇用の促進が進んでいることがうかがえる。しかしその一方、年長者のフリーターの数の減少率は非常にとぼしく、今後はこの年齢層における正規雇用化への取り組みが求められているとしている(【白書完全版】)。
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フリーターに関する説明は第1章「労働経済の推移と特徴」の第1節「雇用、失業の動向」にて語られている。「フリーター」の定義について対象年齢を15~34歳に絞っていることには変わりはないが、1982年~1997年においては「パートかアルバイトとして勤めていて、男性ならば5年未満、女性ならば未婚で仕事」「無職で家事も通学もせず、アルバイトやパートを希望」としているのに対し、2002年以降は在学者を除くため「卒業者であること」を明確化している。また、継続就業年数の規定はない。フリーターの定義自身が異なるので、1997年までと2002年以降のデータには直接の継続性はないことに注意する必要がある。
年齢階級層別フリーター数推移
表からわかるように、2003年にピークの217万人にまで達したフリーター数は以後徐々にその数を減らしている。2006年には187万人にまで減少し、今後も減少していく可能性が高い。データ中の15~24歳層の減り方が顕著であることや、政策的な取り組みも成果を挙げていることなどをその理由としてあげている。
また、「年齢15~34歳で学校卒業者であり、未婚。さらに家事・通学をしていない」フリーターの定義に加えて「非労働力状態である(アルバイトもパートもしていない、あるいはするつもりもない)」の、俗に言う「ニート」(資料中では「若年無業者」と称している)も2006年に入りわずかではあるが前年の64万人から62万人へと減少の傾向を見せている。
若年無業者(ニート)数変移
フリーターとニートの現状についてデータが具体的に提示されているが、気になる点は2つ。一つが「25~34歳のフリーターの減少率が低い、というより停滞気味」であること、もう一つが「若年層のニート数が増加傾向にある」こと。ニートについてはたまたま2005年から2006年の過程でわずかに差異が生じただけで、全般的には横ばいのようにも見えるので現状では考察することもない(むしろ2007年以降の推移を見守る必要がある)が、問題は前者の「年長フリーターがなかなか減らない」状況にあること。
改善の兆しを見せず
・年長フリーターの
「バイト無限連鎖」からの
脱出支援が必要
「白書」でも「年長フリーターには滞留傾向がみられ、年長フリーターの正規雇用化に向けた取り組みの推進が求められている」と言及されている。若年層、15歳~24歳の時点でフリーターであっても中途採用、場合によっては新規採用の道は意外に多く開かれている。しかし求人雑誌を一読してもらえればお分かりのように、大学卒以外の場合25歳以降の新規、あるいは前歴が正規社員でないフリーターの中途採用はハードルが高いといわざるを得ない。
年長フリーターの場合、例え正規雇用を目指そうと就職活動をしても「ハードルが高くて就職できない」「ハードルの低いアルバイトやパートで日銭を得ながらチャンスを待つ・修練する」「年齢が経過して余計にハードルが高くなる」というマイナススパイラルにおちいってしまい、正規社員としての就職そのものが不可能な無限連鎖状態に入り込んでいる可能性が高い。
「白書」における
2006年のニート数と比率。
約2%であることが分かる。
厚生労働省ではすでに「フリーター25万人常用雇用化プラン」を実施し、対策にあたってはいる。が、今後は特に年長フリーターに対して(どのような手を打つべきかの考察もあわせ)対策を練る必要があるだろう。現在「年長フリーター」と呼ばれている人たちがその状態のまま35歳を超えた場合どうなるかあまり想像はしたくないし、15歳から24歳の年少フリーターも続々年長フリーターに移行しうるからだ。
ちなみに「ニート」については、環境的に(ある意味フリーターと比べて恵まれていることなどから)対策の類は見受けられない。自ら労働を為そうという意志がない場合が多いので仕方ないのかもしれない。ちなみに右にあるのは、白書から抽出した、2006年における各年齢層のニートの推定人数及びその年齢層における人口比。ニートの定義は34歳までだが、参考例として44歳までの分も掲載されている。人口比率的に、34歳までのニート陣がそのままそれより高齢でもニートのままであることが分かる。
これをどうみるか、そしてどうすべきかはまた別の問題となるのだろう。
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