F-22は本当に最強なのか!? 戦闘訓練結果は「ほぼ完璧(Near Perfect)」
2007年08月02日 19:30
航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最有力候補になりながら機密保持の問題でアメリカ国外への輸出を1年間延期され日本政府の頭を抱えさせ、沖縄の嘉手納基地に訓練と称して短期間滞在した際にはその存在だけで多くの周辺国家をやきもきさせた、現在世界最強といわれているアメリカ空軍の戦闘機F-22ラプター(Raptor)。しかしその強さはホンモノなのか。その疑問に答える興味深いまとめ記事が【AirForceTimes】に掲載されていたので、かいつまんで紹介する。
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この記事は「F-22 near perfect in combat exercises」つまり「F-22は戦闘訓練においてはほぼパーフェクト(な強さ)」というタイトルのもの。ネット上ではいつも「F-22がどれほどまでに強いのか」について論議が交わされており、また(当方=不破は未確認だが)戦闘訓練中に撮影されたと思われる「F-22がF/A-18F スーパーホーネットに銃撃を受けているように見える写真」をもとに「実は大したものではないのでは?」という説もある、という話から始まっている。
F-22はデビュー当時の2006年6月、Northern Edge基地において戦闘訓練が行なわれている。空軍のデータによると、一週間の訓練データで撃墜・被撃墜のレシオは144対0。つまり敵性航空機を144機撃墜して損害はゼロというものだったという。「F-22無敵伝説」が生まれたのもこの戦果からによるところが大きい。
今までのところ(公開されている記録の限りでは)2007年2月3日から16日の間にネバダ州のNellis空軍基地で行なわれた「Red Flag 07-1」と呼ばれる実践訓練が、デビュー当時以外の訓練といわれている。この訓練では「F-22が撃墜された」という模擬結果は出なかったとしている。しかし専門誌「Aviation Week&Space Technology」3月5日号によれば、1機のF-22が「撃墜判定」を受けたとのこと。
その記事によれば、F-22を「撃墜」したのはF/A-18ではなくF-15かF-16。F-22のパイロットはその敵性航空機を「すでに撃墜された」と判断してしまい、前方に飛び出し、「攻撃」されてしまったとのこと。
このようにF-22には完璧な「戦歴」は無いものの、いまだにアメリカが誇っている「高レベルの性能」を誇っていることには違いないし、それは訓練結果からも実証されている。
訓練に参加した一人のオーストラリア人パイロット(「敵性」航空隊側で参加)はこう述べたそうな。
「戦闘機の類はパイロットの能力に多少の差があれど、システムがきちんと働いていさえすれば十分に能力を発揮してしまうように見える。何となく自分の腕前を否定されてしまっているようで、ストレスが溜まるんだよネ」
(“The thing denies your ability to put a weapons system on it, even when I can see it through the canopy,” said one Australian aggressor pilot at the time. “It’s the most frustrated I’ve ever been.”)
上記参照記事が事実を伝えているとすれば、F-22における訓練時の唯一の「被撃墜記録」はパイロットの判断ミスによるものとなる。が、それでもほとんどメカニズム任せとなった機体操作に複雑な心境を持つパイロットも少なくないのかもしれない。ましてや高性能の操縦機器でちらばめられたF-22ならばなおさら、なのだろう。
ただ、複雑な心境になったとしても撃墜されるよりは、はるかにマシであることもまた事実に他ならない。むしろ「ぜいたくな悩み」といえるだろう。
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