「成績向上」成果アリ・大阪電通大でDSを英語などの授業にて全員に貸与決定
2007年08月06日 06:30
[朝日新聞]が8月3日に伝えるところによると、【大阪電気通信大学】では2007年内をめどに、[任天堂(7974)]の携帯ゲーム機ニンテンドーDSを授業に本格的に導入するという。大学1・2年の必修科目中、英語・物理・力学などで「全学生にDSを貸与する」。さらに独自に、数学の基礎などを学べるソフトの開発にも乗り出すという。
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ゲームを授業で用いて学習効率の向上を図る試みは複数の学校で行なわれており、例えば【東大の研究グループ、オンラインゲームでの教育研究で中間報告】や【DSの「英単語ターゲット1800DS」などで英語学習、京都府が実験学習へ】などを当サイトでも伝えている(なお後者の場合、実際に「成果があった」という報告が行なわれている)。
大阪電気通信大学や任天堂から正式な発表がないので情報ソースが朝日新聞記事でしかないのだが、それによると同大学では2006年7月から試験的にニンテンドーDSを英語のクラスで導入。ほぼ全員の聞き取りの成績が上がり、私語も少なくなるという「成果」が見られた。そこでDSを利用する授業数を大幅に増やすことを決めた。費用的にもパソコンより安価であることが決め手の一つになったという。
英語の場合には「DS本体と、イヤホンから聞こえる英単語を画面に書き込みと正否を判定する市販のゲームソフトを利用」。さらに小テストでは通信対戦機能を用いてクラス全体で点数を競い合うという。具体的なタイトルが提示されていないが、機能などから『英語漬け』『もっと英語漬け』だと思われる。
また「物理や力学ではネット接続機能を使って実験結果を予想しあう」という表現がされているが、こちらは該当するソフトが見つからなかった。あるいはソフト名が書かれていないので、DS本体にはじめからついている機能「ピクトチャット(タッチペンで絵も描けるチャットシステム)」を用いているのかもしれない。
さらに大阪電気通信大学では、数学学習用の独自ソフトの開発にも乗り出す。この大学には幸い【デジタルゲーム学科】がある。そこで、今秋にも数学やゲーム、アニメーションなどの教授陣が開発チームを作り、1年後の完成を目指すという。生徒が参加する表記は見られないが、「実践」という形での参加もありえるかもしれない。さらに同大学の元場俊雄学長は「できたゲームは市販も視野に入れる。軌道に乗れば新たな収益源になるかもしれない」と話しているとのこと。
教育現場で教材を作るのはよくある話だが、ゲーム機向けの教育ソフトを自身の教育現場で作成するのはあまり聞いたことがない。ましてやビジュアルベーシックなどを用いたWindows系のソフトではなく、家庭用ゲーム機のDS向けならなおさらだ(あるいはこのソフトだけはパソコン向けなのかもしれないが……)。野菜の「地産地消」ではないが、ゲーム開発学科を持つ大学ならではの試みであるし、他の教育機関にも波及してほしい流れともいえよう。
詳細を大学側で発表してほしいものだが、それはさておき。原文を読んだ限りではニンテンドーDSを「デジタルツール」として上手に使っているようすがうかがい知れる。「パソコンより安価に生徒に提供できる」という点も大きなメリットだろう。【任天堂(7974)、DSライトを美術館案内端末として活用】や【任天堂(7974)、得意分野の融合ソフト「DS時雨殿」を12月14日に発売】で紹介したように、単なるゲーム機としてはもちろん、マルチメディア総合デジタルモバイルマシンとしての位置づけに「ニンテンドーDS」がまた一歩近づいたようにすら思えるニュースなのかもしれない。
(最終更新:2013/09/08)
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