ネットカフェ難民は全国で約5400人、20歳代と50歳代がそれぞれ約1/4に~厚生労働省初の調査結果まとまる
2007年08月29日 06:30
【厚生労働省】は8月28日、「日雇い派遣労働者の実態に関する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に関する調査の概要」を発表した。それによると俗に言う「住所不定」でネットカフェや漫画喫茶で寝泊りを続ける「ネットカフェ難民」が全国で約5400人にのぼることや、20歳代と50歳代に多いことが明らかになった。公的機関による初の調査結果ということで注目を集める内容になっている(【発表リリースページ】)。
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インターネットによる情報収集ができるなど、さまざまなサービス(簡単な衣食住)が1時間数百円で受けられるネットカフェは、住居を失った若年層などが多用し、俗に「ネットカフェ難民」と呼ばれている(安価なアパートなどの賃貸物件を借りるにしても敷金礼金などでまとまった現金が必要になり、さらには保証人などを求められる場合もあるため、手持ちが少なく後ろ盾もない人には不可能に近い)。利用するネットカフェすら定まらない者も多く、路上生活者よりも実態がつかみにくいため、「見えないホームレス問題」とも指摘。公的機関による総括的調査が求められていた。
今調査は日雇い派遣労働者と住居喪失不安定就労者それぞれについて調査したものだが、「ネットカフェ難民」が該当する後者については、全国の全国の24時間営業のインターネットカフェ・漫画喫茶など全店舗に対する電話調査(3246店舗対象、有効回答数1173店舗、回収率36.1%)、さらにそこからの利用者への絞込み調査(146店舗、回収は87店舗・1664人)、そしてそれとは別に東京23区内及び大阪市内のオールナイト利用者のうち、住居を失っている者などに対する個別面接調査(回収調査サンプル数東京300人・大阪62人・計362人)によって取得したデータをまとめあげたもの。
それによると定住先が無く、ネットカフェなどを常連的に利用する「ネットカフェ難民」(住居喪失者)は約5400人。その他「ネットカフェ難民」に対する調査結果概要は次の通りとなる。
■ネットカフェ難民の概要
・把握できた人数は約5400人
・年齢構成は20歳代と50歳代が多い。それぞれ約1/4
・仕事との関係は「短期労働」「短期派遣労働」「短期直用労働(一か月未満の直接雇用労働)」のような非正規労働者(不安定な職)は約半数の2700人。残りは正社員か失業者、無業者(仕事をせず、探してもいない)
・特に「一か月未満の直接雇用労働者」は約1700人にのぼる。
・都市圏で限定すると、東京23区内で2000人、名古屋市内で200人、大阪市内で900人を確認。
・年齢層別では20歳代が26.5%で最多、ついで50歳代が23.1%、30歳代が19.0%。
・男女別では男性82.6%、女性17.4%。
・平均月収は東京10.7万円、大阪8.3万円(失業者・無業者含む)。非正規労働者なネットカフェ難民に限ると東京11.3万円、大阪9.3万円。
・雇用保険加入率は東京4.0%、大阪7.3%。医療保険(健康保険と国民健康保険をあわせた)は東京9.8%、大阪22.0%。
・年金加入者は東京6.3%、大阪24.4%。
・住居喪失の理由は「家賃が払えなくなった」「仕事を辞めて住み込み先を出た」「家族との関係悪化で家を出た」が多い。
年齢層別、地域別にそれぞれ多数の傾向が見られ、詳細は全文(63ページほどに登る)を読み解く必要があるだろう。どちらにしても、一部メディアで語られ「現実の問題」とも「誇張表現」とも言われていた「ネットカフェ難民」の実態が、ある程度だが明らかになったことに違いはなく、今後物議の対象となることだろう。
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