「簡易地デジチューナーを5000円以下で販売」情報通信審議会正式答申発表

2007年08月03日 06:30

テレビイメージ総務相の諮問機関である【情報通信審議会】は8月2日、地上デジタル放送の普及促進に向けて、通常のアナログテレビに取り付けるだけでデジタル放送が視聴できるようになる簡易チューナーを、2年以内に5000円以下で製造・販売するように電機メーカーに要請すると共に、生活保護世帯など低所得世帯には無料で配布するなど、政府による支援策が必要不可欠であるとする答申をまとめた(【発表リリース】)。

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これは先に【総務省、1台5000円以下の格安地デジチューナーの開発を要請へ】で報じた答申方針の具体的な文書化による発表。簡易チューナーについては「5000円以下のものを製造販売要請」「低所得世帯へは無料配布」の二本柱で各関係機関に協力を要請し、地デジ普及を促進する。

地デジ(地上デジタル)放送への切り替えは現在のところ2011年7月には全面移行することが決定しており、それ以降は現在のアナログテレビだけではテレビ放送が受信できなくなる。一方で、十分な告知活動は行うに違いないが、それでも2011年7月になると「テレビが映らない。どうしよう」と(地デジ未対応のテレビでは放送が受信できなくなることを理解せずに)困る人が多数現れるものと思われる。今回の答申でもそれを懸念しており、「国民全体に情報をスムースに伝達できる最良の媒体であるテレビの視聴可能率が減少するのは色々な点で問題。安価なチューナーの提供促進や無料配布で受信者側のデジタル化を進めるのが必要不可欠」としている。

今回の答申資料によると、この「安価・簡易チューナー」については

②簡易なチューナー等デジタル放送を視聴するための最小限の機能を有する簡易なチューナー等が早期に安価に市場に出回るような取組が必要。例えば、簡易なチューナー等に必要な機能の検討等を通じて、2年以内に5000円以下の簡易なチューナーが視聴者が望めば入手できるような環境整備が望まれる。その際には、商品企画の自由度を阻害しないこと、簡易なチューナー等の購入に加えアンテナの交換等が必要となる場合があることの周知等に留意が必要

⑥廃棄・リサイクル2011年時点でアナログ受信機器が大量に廃棄されることが起こらないようにする観点からも、チューナーを取り付けることにより引き続きアナログ受信機器が使用できることの周知広報。リサイクルを担当する関係省庁とも連携


と説明。一方、低所得者への無料配布の件については

受信機器の購入は視聴者の負担が原則。一方で、経済的な理由によりテレビを視聴できなくなることが見込まれる世帯に対する支援の具体策について、国は、平成20年夏までに検討して公表

①支援を行う対象者は、経済的に困窮度が高いものとして認定された者等、厳密に限定すべきこと

②その支援対象は、現在アナログ放送を受信している人が2011年以降も引き続きデジタル放送を視聴できるようにするための最小限の機能のものに限定すべきこと


としている。

今回発表された答申内容では、地デジ化に伴う著作権保護法式の見直しや「お知らせ」の徹底化、有効活用などについても意見が述べられている。これらの答申を元に総務省など関係各庁では政策が決定されることになるので、具体的な法案や政府側からの地デジへのアプローチも(まだ中間答申だが)今答申が骨子になると見て良いだろう。

あくまでも「地デジ放送が現行のテレビで閲覧できればOK」という表記なので、メーカー側は「アナログテレビに接続するワンセグチューナー」などを5000円以下で開発する可能性もある。またワンセグ機能つき携帯電話の普及で、「地デジ移行で今のテレビが使えなくなるのならテレビを買い替えずに携帯電話やパソコンで観ればいい」と考えている人も少なくない。テレビ業界や広告代理店などの思惑も絡み、今後さらにこの「完全地デジに伴う地デジチューナー問題」は注目を集めることだろう。


(最終更新:2013/08/20)

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