ゲームで4.3倍・書籍や化粧品は7倍以上!~モバイルの経済波及効果は2010年までの4年間で4倍・2.4兆円に
2007年08月25日 12:00
情報通信総合研究所は8月24日、携帯電話(モバイル)サービスの普及によって日本経済にどこまで影響が及ぼされるかを試算した【携帯電話サービス普及による日本経済への波及効果】を発表した。それによるとモバイルコンテンツ(各種情報)とモバイルコマース(商取引)による経済波及効果は4年後の2010年において、2006年の段階の4倍にあたる2.4兆円に達することが明らかになった。
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同レポートによるとモバイルコンテンツ・コマースの両分野で経済波及効果は今後飛躍的に伸び、特にコマース市場では書籍や化粧品などを中心にした物販系の伸びが急増すると予測している。
モバイルコンテンツ・コマース(モバイル上位レイヤ)の経済波及効果のこれまでと今後の予想
モバイルコマース部門では2008年にはコンテンツ部門との立場を逆転し、今後4年間で6.3倍の1兆4870億円規模にまで経済波及効果が成長するという予想が立てられている。
先に【ケータイでモバイルショッピングサイトをよくチェックする人は49.6%】で伝えたが、モバイルコマースの利用実例としては男性が「CD・DVD・ビデオ」「衣料品・ファッション」「書籍・雑誌」、女性が「衣料品・ファッション」「化粧品」「食料品・飲料」と、「男性は趣味趣向用品、女性は美的用品」という傾向が見て取れる。今レポートでも同様の指摘がなされており、今後「書籍と化粧品」がモバイルコマース部門では大いに成長することだろう。
一方コンテンツ分野ではゲームへの人気がこれまで以上に高まり、大いにその売り上げを伸ばすと予測している。携帯電話の機能が飛躍的に良くなり、パケット定額制も普及するにつれ、ゲームの質も向上。「手軽」「いつでも」「ネットワーク」というモバイルの特徴を活かしたゲームやコミュニティサービスが今後も話題を呼ぶに違いない。
コンテンツ・コマース部門の細部項目における今後4年間の経済波及効果伸びの予想
伸び率予想を見れば分かるが、コンテンツ部門ではすでにそれなりの実績があるため、ゲーム部門の伸びを除けば「それなりな」伸びを期待できるのに対し、コマース部門では現在の経済波及効果がまだ少なめなこともあり、それこそ「爆発的な」伸びが予想されている。それぞれの項目における伸び率予想は次の通り。
書籍……7.6倍(363億円→2771億円)
化粧品など……7.6倍(340億円→2599億円)
食料・飲料……7.6倍(326億円→2490億円)
衣料・アクセサリー……7.7倍(190億円→1454億円)
その他……4.8倍(1159億円→5555億円)
※モバイルゲーム……4.3倍(832億円→3581億円)
コマース部門ではそれぞれ7倍以上もの経済波及効果の伸びが期待されていることが分かる。
レポートではそのほかにも、経済波及効果と共に雇用創出の効果も大きいことや、音楽配信部門においては携帯電話メーカー(キャリア)側の仕様の統一により大きな経済波及・雇用創出が産み出されたことなど、興味深い内容が語られている。
→すべてが新規需要ではなく
既存他分野の需要のスライドも。
→既存分野も新たな「工夫」が
求められることに。
モバイルコンテンツ・コマースの経済波及効果が4倍に増えるとすれば、その増加分は「これまでになかった需要が掘り起こされる」か「他に割り当てられていた需要がモバイルに移行するか」のいずれでしかない。前者はモバイルの気軽さやネットワーク(コミュニティ)性、今後はオンデマンドや他の媒体との連動(例えばテレビ番組との連携企画)などがよい例で、後者は例えば書籍において「本屋で買物をしなくともモバイルで注文すればOK」という層が想定される。
また、モバイル分野の躍進は関連企業の雇用や売り上げにプラス要因となるが、それがそのままコンテンツ・コマース分野の飛躍に割り当てられるわけではない。景気が同じような伸び率で良くならない場合、「4倍に増加」した分の幾ばくかは既存分野、例えば一般商店や既存メディアがそれなりの「割を食う」ことになる(具体的には客が減る、売り上げが落ちる、など)。
経済構造の変化だから仕方ない、という言葉で片付ければそれで終わってしまうのだが、それでは非効率的な気もする。モバイル分野の躍進と経済波及効果の伸びに指を加えていることなく、「割を食う」分野でも、飛躍を続ける「勝ち組」たるモバイルに便乗する、一言でいえば「勝ち馬に乗る」工夫が必要になるだろう。
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(最終更新:2013/08/19)
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