「ゆうちょ銀行」スタートまで2か月・株式などの運用市場に激変!?
2007年08月07日 06:30
郵政民営化政策の一環である郵便貯金の民営化によって創設される「ゆうちょ銀行」の設立まであと2か月となった(10月開設予定)。日本全土から集めた郵便貯金の総額は180兆円を超え、メガバンクなどどこ吹く風といったレベル。「ゆうちょ銀行」後はこれまでの「安全確実な国債での運用メイン」という方針が自由化されるため、金融界が大いに注目を集めているという(『参照記事:産経新聞』)
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郵便貯金は民営化開始時点で188兆円。そのうち特別貯金(定期性貯金として預け入れられて再委託され、安全資産での運用が郵政民営化法で決められている)以外の運用可能資金は約55兆円。ただし今後の計画では郵便貯金そのものが2011年末には164兆円に、特別貯金(定期性貯金)が46兆円に減る見込みで、逆にフレキシブルな運用が可能となる資金は118兆円(164兆円-46兆円)にまで増える見込み。
民営化前においては「国債7割、1割弱が地方債・社債、残りは外国債券や地方自治体への貸付」に制限されていた自主運用も、民営化で「安全第一」から自由運用が出来るようになった。つまり民営化時点で46兆円、2011年には118兆円もの資金が「国債メインの安全な金融商品」から、株式や証券化商品、さらにはデリバティブ商品などに投入される可能性が生じている(民営化後金融庁に認可申請し、認められ次第運用を実施する予定)。
これだけ巨大な資金が国債から他の金融商品に流れることで、国債の価格下落、さらには長期金利の上昇(国債のニーズが減れば魅力を高めて集客するために利率を引き上げねばならなくなるから)を懸念する向きもある。
また、資金が流れ込むであろう株式市場でも、その運用額の大きさから市場に与える影響を不安視する声もあがっている。資金注入は大いに歓迎すべきところだが、資金運用のノウハウや経験の浅い「ゆうちょ銀行」が多額の資金を投入すれば、それこそ数メートル四方の家庭菜園にショベルカーで乗り込んだような状況になりかねないからだ。
幸い、「ゆうちょ銀行」がスタートする10月は、【日銀の株売却、株価が下がれば停止もアリ】にもあるように日本銀行が持ち株を放出する時期と重なる。ここは「ゆうちょ銀行」と「日本銀行」が話しあい、最初のうちは日本銀行の放出株をゆうちょ銀行に買い取ってもらい、互いの市場に与えうる影響を最小限にとどめてもらうというのはどうだろうか。ただ、日本銀行から株式を買い取ったゆうちょ銀行が、乱雑な運用をしてしまうとその配慮も水の泡になってしまうという弱点もあるのだが……。
(最終更新:2013/08/29)
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