パンやうどんなどの値上げも?~輸入小麦の政府卸売価格、10月から10%引き上げ
2007年08月26日 12:00
農林水産省は8月24日、輸入小麦の卸売価格を10月から一律10%引き上げると発表した。理由は小麦の国際価格が急騰しているため。これに伴い今後、小麦を原材料にしている食品であるパンやうどんなどの値上げが懸念される(【発表リリース】)。
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輸入麦の大部分は食品の安定的な国内供給を確保するため、政府が商社を経由して輸入し、その上で企業に一定の価格で売り渡すという、農協におけるお米の売買と似たような仕組みを採用している。【輸入麦の価格ルール変更でパンやうどん、焼酎などの値段に影響か】でもお伝えしたように、これまで年間固定制だった売り渡し価格は2007年から年3回(当面は年2回)の変動が行なわれる。今回はそのルールに従った価格改定となる。
今回発表された10月以降の小麦価格は、代表的な5銘柄の平均でこれまでの4万8430円/トンから5万3270円/トンと10.0%の引き上げ。パン・めん・菓子などに使われるそれぞれ代表的な小麦5銘柄もそれぞれ一律10.0%の引き上げとなる。
価格引き上げについてリリースでは
・新興市場国などの経済成長や食生活の高度化による穀物需要の増大(主に中国)
・バイオエタノール需要の増大(麦が原材料に使われている)
の2点を理由としてあげ、従来の変動幅5%ではまかないきれないことから、10%の引き上げに決めたという。また、【オーストラリアでの干ばつ続く、食用油も値上げか】でも報じたが生産地のオーストラリアの干ばつによる供給不足も少なからぬ影響を及ぼしていると思われる。
今回の小麦売り渡し価格の引き上げについて農林水産省側では、メディア毎に違った見解を出している。いわく、
「うどんや食パンなどの小売価格が引き上げられる可能性もあり、影響を注意深く見ていきたい」(NHK)
「食パンやうどんの製品価格に占める小麦価格の割合は大きくないので、それほど大きな影響があるとは思わない」(日経新聞)
とのこと。まとめると「どうなるか分からない」ということだろうか。
製粉業界最大手【日清製粉本社グループ(2002)】ではすでに【9月1日から一部製品の値上げを決定している】が、今回の小麦価格の大幅値上げによりさらなる値上げを検討していると報じられている。業界第二位の【日本製粉(2001)】でも製品価格への影響の試算を行なうと共に、値上げの検討に入るとのこと。
農林水産省の一部の思惑とは裏腹に、小麦関連商品の値上げや同価格での商品の縮小化・分量低減化は確実に行なわれそうな雰囲気だ。
(最終更新:2013/08/19)
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