もしも地球から人類が突然消え去ったら……「The World Without Us」
2007年07月15日 12:00
最近色々と面白い話を提供してくれるのでよく巡回しているイギリスのサイト【Daily Mail】で、少々衝撃的な画像を見つけた。その記事のタイトルは【「How the world would thrive without mankind」】。世界は人類無しでどのように繁栄していくのだろうか、という意味のタイトルがつけられたその記事には、どこまでも続くアマゾンのような森林の中に、無秩序に未来的な、そして無数のツタが絡まっている人工建造物がそそり立つ写真が掲載されている。
スポンサードリンク
ざっと読みしてみると、これは7月5日に発売された『The World Without Us(英語)』という書籍の評論文だった。タイトル通り「ヴィールスなど突発的な原因で地球上から突然人類がいなくなったらどうなるのか」ということを検証したもので、思考ゲーム的なところもあるが同時に非常に興味深い内容になっている。先の「Daily Mail」に掲載されていた写真も、この本の表紙に使われた画像の原版なようだ。
昨年アメリカで公開され賛否両論もあわせ物議をかもし、日本でも今年の頭に公開された『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』に通じるものがあるお話だが、日本ではまだ未公開なので、詳しい内容については語られていない。この類のお話はある程度センセーショナルに語らないとその重要性を相手に伝えにくいこともあり(それだけ受け手が鈍感になっている証拠でもあるのだが)、啓蒙的というよりはプロパガンダ的なところも見え隠れしているが、ともあれ興味深いお話であるには違いない(記事横にはDaily Mailに掲載された原版ではなく、アマゾンから抽出した冊子の表紙を掲載しておく。原版はもう少しズームアウトしたもので、インパクトもそれだけ大きい)。
また、この冊子の公式サイトも【こちらにあるので(英語)】興味のある人はチェックしてみると良いだろう。画像だけでもメッセージが伝わってくると思う。トップページ下部にはスライドショーとして「人類が突然いなくなったらニューヨークはどうなるか」が表示されている。
さてこの「The World Without Us」では具体的にタイムスケジュールとして「人類が消えてから地球はどのような変貌を遂げるのか」というお話が語られているが、その一部は上記公式サイト【DO YOU KNOW?】などで知ることができる(ただしニューヨーク近辺の話がメイン)。それとは別に、全般的な話としての一覧があったので、その一部をリストアップしてみる。
・「消滅」直後……絶滅指定されていた動植物がその数を回復し始める
・48時間以内……軽度の公害が無くなる
・3か月……窒素、硫黄酸化物系の公害が減少する
・10年以内……メタン系公害が無くなる
・20年以内……地方都市などの道路が消失する
・50年以内……魚類の数が回復する。淡水における硝酸、燐酸系の公害が無くなる
・50年から100年……都市近郊の道路や建物が崩壊する
・100年……木造建造物が倒壊する
・100年から200年……橋が壊れ落ちる
・200年以内……金属製などの建物が倒壊する。アメリカの穀倉地帯が大草原に戻る
・250年以内……ダムが崩れ落ちる
・500年以内……さんご礁が再生しはじめる
・500年から1000年……埋立地に埋められた有機廃棄物のほとんどが消えて無くなる
・1000年以上……コンクリート製や石造りの建物が倒壊する。大気中の二酸化炭素濃度が産業革命以前のレベルに戻る
・50000年以内……ガラスやプラスチックのほとんどが喪失し地に帰る
・50000年以上……人類の軌跡はわずかに残った遺跡でのみ知ることができるようになる
・それ以降……化学廃棄物は20万年以上経たないとなくならない。また核廃棄物には200万年以上もの月日を要する。
「人類がほとんど消え去ったあとの地球の様子」はこれまで映画やマンガ、小説などさまざまなメディアで想像され演出されてきた。当方もくだんの写真やこのリストを見て、藤子不二雄先生や岡崎二郎先生著書のSF系作品を想像してしまった。
しかし同時に、なぜか、【見る見る分かる禁煙で得られる数々の効果・アメリカ肺がん協会のパンフレットから】が頭に思い浮かばれたのも白状しなければならない。地球を一つの生命体にたとえる「ガイア理論」の話ではないが、「人間=たばこ(の害)」「地球=人間」と考えると、タイムスケールなどに違いはあれど、あまり変わるところが無いのではないか、そんな想像が出来てしまったからだ。
この連想が単なる「考えすぎ」「妄想」なのか、それとも「鋭い発想」なのか、それは読者一人一人の判断にお任せすることにする(恐らくほとんどは前者だろう)。ともあれ「ひと」が「地球」にとって「たばこの害」的なものにならないよう、少しでも気を配る、あるいはその発想を持った方がよいことだけは間違いない……と思うのだが、どうだろうか。
■関連記事:
【「2030年夏・27度以上の暑い夜は今の3倍に」地球シミュレーター試算結果】
【あちらを立てればこちらが立たず……地球環境のバランス調整の難しさを知るゲームたち】
(最終更新:2013/09/08)
スポンサードリンク
ツイート