ミーアキャット同士のケンカを仲裁したのは、あの風邪薬

2007年07月28日 12:00

ミーアキャットイメージイギリスのハンプシャー州にある【Paultons Park】遊園地内の動物園では、可愛らしい外見とは裏腹に激しい気性を持っているミーアキャットが新旧勢力間でケンカが行われるを止めるため、人間がよく使っている「ある塗り薬」を導入、見事に仲裁に成功したという(【デイリーメール】)。

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ヴィックス ヴェポラッブイメージ使われた塗り薬とは、風邪やぜん息の際にお世話になることが多い、あのゼリー状の塗り薬「ヴィックス ヴェポラッブ」。「ビックスベポラップ」などうろ覚えで色々な呼ばれ方がされているが、「Vicks VapoRub」が英語表記で、販売元の日本語表記は「ヴィックス ヴェポラッブ」となっている。

それはさておき。上記動物園では元々2匹のミーアキャットが居たが、家族向けアトラクションに彼らを参加させる際、増「員」として3匹のミーアキャットが追加された。ところが太陽に向かって直立不動で日光浴をする姿など見た目は可愛いこの動物、気性は非常に荒いことでも知られている。また、生活グループ内での結びつきが極めて強く、逆にグループ間の交流はほとんどない。「新参者」が目の前にあらわれると本能的に攻撃するのが常だと言う。このままでは新規の3匹が旧来の2匹に攻撃されてしまい、アトラクションどころではなくなるのは必至。

そこで導入されたのがこの「ヴィックス ヴェポラッブ」。彼らの興味関心を引くような場所におかれ、彼らに匂いをかいでもらい、あるいは触れてもらうことで、彼らの嗅覚をまひさせた。ミーアキャットが他のミーアキャットをグループ内のものかそうでないかを判断するには「匂い」が多分に影響しているようで、その匂いの違いを「ヴィックス ヴェポラッブ」でかき乱された……というより「ヴィックス ヴェポラッブ」で統一されてしまった新旧両方のミーアキャットは互いを「同じグループの仲間」と判断。かくしてケンカをすることなく、旧来の2匹と新しい3匹は意気投合し、さらには繁殖の兆候すら示しているという(元記事には実際にヴィックス ヴェポラッブが使われている写真が掲載されている)。

「ケンカのタネとなるものを、容易に手に入る塗り薬で解決した」という方法には動物園内外で賛美の声があがっている。一方元記事のコメントでは、「人間には安全といわれているが動物にはどうかは分からない。そのような薬をむやみに使うのはどうか」「化学物質に違いは無く、それを簡単に使ってよいものか」と、ケンカの元になる香りを画一化するのに、安易にヴィックス ヴェポラッブを用いたことに批判的な意見が相次いでいる。

「匂いの違いがケンカの元なのだから、その匂いを画一化できる簡単な塗り薬を使えば良い」という発想は非常に面白いものがある。しかしその一方でコメントにあるような問題点も指摘されても仕方がない。

方法論としては有効だが、今後どのような影響があるのか、同動物園での彼らの生態を注意深く見守る必要があるだろう。

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