金融商品取引法の施行で変わる、投資関連商材?
2007年07月26日 12:30
先に【国民生活センターが喚起・怪しい投資話に関する7つの問題点と3つのアドバイス】など折に触れている、9月にその大部分が施行される「金融商品取引法」。金融関連の各種法律を統合整備し、消費者保護を強化する目的で作られたものだが、さまざまな分野で浅からぬ影響を与える内容となっている。今回、インターネット上でよく見かける「これってどうよ?」と首を傾げたくなる金融商品関連の商材広告について、金融庁に問い合わせ、その回答を得られたのでここに覚え書き代わりに記しておくことにする。
スポンサードリンク
金融商品取引法の概要は【公式サイト内のパンフレット(PDF)】にある通りだが、「証券取引法」を「金融商品取引法」に変え、それに「金融先物取引法」「外国証券業者に関する法律」「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」「抵当証券業の規制等に関する法律」を統合。さらに関連法89法律を改正し、その一部をも統合するというもの。
今回問い合わせたのは、直接の金融商品の売買や勧誘ではなく、外国為替証拠金取引(FX)や株式取引をテーマにした、業者や個人による「情報商材の販売」が規制対象に当たるかどうかという件について。具体的には「株で年収●×万円稼ぐ方法」「▲年で●億円稼ぐ投資法」「確実に○×万円儲かる投資法」など、よく見かける案件だ。
これらは直接金融商品を販売しているわけではなく、仲介をしているわけでもない。しかし明らかに金融商品を対象とし、システムやアドバイスの提供など、間接的に旧投資顧問業法(有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律)あるいは施行予定の金融商品取引法に抵触しうる案件かどうか判断しにくいもの。
そこで具体的に広告に記載されている文言やその内容を伝え、金融庁の金融商品取引法の担当部局に問い合わせたところ、次のような回答を得られた。
・現行法では証券課に該当する案件であるのでこちらでは答えられない。
・しかし金融商品取引法施行後は当法律にて規制する対象となりうる。ただし具体的な案件を監査していないので、各個について規制対象となるかどうかの回答はできない。
・金融商品取引法においては基本的に現行法の統合だけでなく消費者保護の観点に立ち、規制を強化している。現行法では規制に該当しないものでも施行後に規制の対象となる可能性はある。
一方証券課、さらには証券取引等監視委員会に問い合わせをしたが(要は「たらい回し」)、現行法では規制に該当するかどうかは個別案件を見ないと分からないとのことだった。
金融商品取引法については施行直前の現在においても関連各業界内で解釈や対応について混乱を生じており、正直9月の施行以降どのような変化が生じるのか、つかみにくいところがある。何しろ株式やFXだけでなく、保険や資産管理など、金融に関連するサービスのほとんどがこの法律の対象となるのだから、該当する分野も多種に渡る。
一般雑誌や投資専門誌での表現がよいのならネット上で売買する情報でも問題ないのではないか、という話もある。しかしそれを差し引いても、事実と異なるもの、あるいはそのように容易に解釈できるような文言を用いているものは言語道断。正直「このような表現で良いのか」という文言のものも数多く見受けられる昨今(元々個人的にこういった「うさんくさいもの」は好まず、自分のサイトカラーに合わないのはイヤだな、と感じているのもあるのだろうが……)。だが、9月以降は自主規制もあわせよい方向に進んでくれるものと信じることにしよう。
※当方(記事執筆者)は法律に関する資格を取得しているわけではありませんし、資格に基づいて今回の取材・記事執筆をしているわけでもありません。今件において法律的な解釈などにおける法的根拠は何らありません。あらためてお断りしておきます。各種判断はあくまでも自己責任・自己判断でお願いします。
スポンサードリンク
ツイート