【更新】総務省主導による迷惑メール規制強化検討会、初会合開催

2007年07月25日 06:30

電子メールイメージ[読売新聞]や[日経新聞]が伝えるところによると【総務省】は7月24日に「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」の初会合を開催、規制強化への検討を確認した。11月下旬をめどに中間報告をまとめる方針との事。受信者の承諾なしに広告・宣伝のためのメールを送ることを一律に禁止することなどを柱とし、国際連携の強化などについても議論するという。

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これは先に【総務省、迷惑広告メールを法改正で禁止へ・受信者の受諾が必要な方向に】で伝えた「通信事業者や学識経験者による研究会」で、それによればこの研究科の報告を元に総務省では2008年の通常国会に「特定電子メール送信適正化法」の改正案を提出する予定。

初会合では座長の新美育文氏(明治大教授)が、現状では対策を立てても新しい手口を業者側が開発しイタチごっこになっているとし苦言を呈し、参加者から規制強化が叫ばれたが、その一方で「(法改正をしても)状況が改善するとは考えにくい」とする懐疑論(野口尚志氏・日本インターネットプロバイダー協会理事の言)も当初から出てくるなど問題の難しさが浮き彫りにされている。

先の記事や今回の読売新聞で指摘されているように、2002年施行の「特定電子メール送信適正化法」では受信者の承諾なしに広告・宣伝メールを送る時に、件名に「未承諾広告※」と明記し、送信者の名称や住所などの表示を義務付けている。しかし実際には約99%ものメールがこのルールを守らず、また約96%が送信者情報を偽装し処罰を免れる工作を行っている。2005年には法が改正され、送信者情報を偽った場合に100万円以下の罰金など刑事罰が導入されたものの、送信者の特定が困難で、摘発例は数件しかなく、事実上規制は形骸化している。

事実上国内企業による迷惑メールではそのほとんどが自社・あるいは自社関連サイト、サービスへの誘導が主な目的となっている。そのメールの受信で業者側の目的が完結することはほとんどない。つまり(例えば送信元を受信者と同じにし、エラーが出ても自サーバーに負荷がかからないようにしたり、さらにそのエラーによるリターンメールそのものを迷惑メールにするよう偽装するなど)「送信者を偽っている迷惑メールでも、その主体、あるいはスポンサーは本文中に誘導される先に存在している」ことになる。メールのフッターなどのデータから送信元を特定できなくとも、本文中の文章による誘導先から、「どこが送っているのか」をある程度絞り込むことは可能だろう。

もちろん海外からの英語文章による迷惑メールは対処が難しいし、さらに「ライバル業者を蹴落とそういう目的で、あえてそのライバル業者の宣伝を本文中で行う」可能性も否定できない。しかしある一定期間に渡り計測をした上で確認すれば、間違いも最小限に抑えることができる。また、(単なる営業メール送信ツールではなく)送信元を偽装したり明らかに迷惑メール送信を前提とした送信ツールの制作元へも「法令違反の幇助」として法の網をかぶせることができないか検討すべきだろう。

正直、イタチごっこになる可能性は高い。しかし追いかけなければ絶対にイタチが捕まらないのも事実である。なかなかつかまらないから何もしないのでは、職務怠慢に他ならない。現状をきちんと把握し、最善を尽くすことこそが、関係者の責務ではないだろうか。


(最終更新:2013/08/20)

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