【更新】雑草だらけの田舎の農地、眠っているのかも・いねむりかかしで啓蒙活動実施へ
2007年07月23日 06:30
[読売新聞]が伝えるところによると、農林水産省などで作る「農地マーケット企画委員会」(事務局は全国農地保有合理化協会)は8月から、耕作されていない「遊休農地」を持つ都会の不在地主に有効利用を呼びかけるため、ポスターによる宣伝活動を羽田空港や都電で展開するという。
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【バイオエタノールの需要急増で食料不足懸念高まる・政府も再確認】で解説しているが元々日本は食糧自給率が低い上、昨今では需要国の増大やバイオエタノールの生産が増えたことから食料不足懸念が高まる一方であるにも関わらず、耕地面積・耕地利用率・農業就業者いずれもが減少する傾向にある。
総人口と農業生産関係の数字の移り変わり
また、元記事によれば相続などの結果持ち主が変わり、地元の人々と連絡が取れなくなった不在地主も増加しているとのこと。2005年の段階で東京都の面積の約1.7倍にあたる38万ヘクタールが遊休農地(耕作されていない農地)となっているという。
農地マーケット企画委員会ではこの遊休農地に対し、使いたい人に貸すか売る、草刈りなどの管理を委託する、農作業を委託するなどを呼びかけるため、右図にあるように「いねむりかかし」のポスターを作成。夏休みの行楽時などに、不在地主が目につきやすい羽田空港内や都電の車内に8月中掲げるという。
遊休農地を持っている人がこのポスターに目を留めるかどうかは確率論的な問題であるし、仮に目を留めても自分のことを指しているのかどうか理解できない可能性もある(そもそも理解できているのならすでに何らかのアクションを起こしているだろう)。
告知と啓蒙は非常に大切だが、それならば「なぜ今多くの農地の持ち主が自分の土地を遊休農地にしてしまっているのか」を検討し、それではどうすれば「遊休農地でないようにしてもらえるのか」について、さまざまな手を打ち、その具体策を前面に打ち出す必要があるだろう。例えば売りたいけれど税金の問題が煩雑だったり税金が高くて売るに売れない場合なら、専門家を派遣したり特別税制制度を設ける、先祖代々の土地だから売れないけど、管理をしたり農作業をする人がいない場合には斡旋業務を行う、などなど。
これらの「遊休農地の持ち主にとっての解決策・メリット」をもっと大きくアピールしないと、状況の改善は難しいかもしれない。
まずは今回のポスター展開でどこまで効果が出るのか、様子を見たいところではある。
(最終更新:2013/08/20)
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