二か月分の雨が一日で! 豪雨がイギリスを襲う
2007年07月22日 12:00
元々長雨で知られるイギリスだが、恐らくこれほどの大雨は滅多になかったのだろう。7月20日から21日にイギリスに降った雨は【Daily Mail】でも「夏期休暇の初日、今回の大雨でイギリス全体がきれいに汚れを洗い落とされてしまった」と称するほどのものだったようだ。その量は「二か月分の降雨を一日で経験した(Two months' rain in one day: The deluge begins)」量だったという。
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イギリス現地の様子は上記リンクや【降雨を知らせる別ページの写真】などで確認してほしいが、突発的な豪雨は次のような影響をイギリス全土にもたらした。
・鉄道会社は鉄道の運休を決定
・洪水により高速道路(M5)はストップ
・警察の緊急電話回線もダウン
・水没した自動車が相次ぎ、放棄せざるを得ないドライバーが相次ぐ
別記事では「一日強で7月一か月分の予想降雨量の3倍が記録された地域もあった」と記載されている。イギリスの環境庁は82か所に洪水警報を発し、同庁の高官も「100年、いや、150年や200年間の範囲でも非常にまれな量の大雨だ」と述べたという。また同時に今回の大雨が単なる突発的なもので終わることなく、気候そのものの変化によってもたらされたものであり、再び似たような経験をする可能性があること、そして再度起きた時のために排水システムの整備を特に鉄道や警察などインフラ部門で進めねばならいことを主張している。
また別の地域では「警察署に24時間で1500件の緊急通報」「レスキューサービスに年間通報数の10%にあたる1000件以上の通報が24時間で行われた」などの報告も挙がっている。特に後者は住宅や(地下)トレーラー駐車場が水没したことによる救助要請が多く、300件もの救出活動を行ったとの事。
さらに南ロンドンはかなりの地域が水没し「ゴムボートだけが同地域を無事に移動できる唯一の手段である」とする写真も掲載されている。他にも水没した自動車の屋根に乗り救助を待つ人たちや水没した地下トンネル前で立ち往生するイギリス名物の二階建てバス、土砂降りの中、わざわざ傘を差して外でランチを楽しむクリケットプレイヤー、階段を伝って地下鉄内部に流れ込む豪雨など、現地のようすがよく分かる写真を多数見ることができる。さらに同誌では読者からの「洪水の状況を写した写真」の投稿も受け付けており、専用のギャラリーも登場し、興味深い写真が数多く掲載されている。本文を読むことができなくとも、写真だけでも豪雨のすさまじさを知ることができるだろう。
一枚だけ、ちょっとほっとする写真を引用。キャプションに曰く「こんな洪水の中では、鳥は人間より幸せそうに見えるよね」とのこと。なるほど……
霧の深さと共に長雨でも有名なイギリス、特に首都ロンドンではその傾向が強い。それなりにイギリス市民も豪雨や霧には慣れている。しかし今回の大雨はそれらの備えや慣れをはるかに上回る。
これが単なる「たまたま、数百年に一度のイレギュラー的な気象現象」なのか、それとも環境庁の高官が述べているように「地球環境・気候そのものの変化によるもので、今後も起きる可能性は十分にあること」なのかは、今後の調査と観測によって明らかになると思われる。また今件クラスの大雨が果たしてイギリスだけのものなのか、日本も含めた他地域にも起き得るものなのか、それも定かではない……が、可能性は十分にあると見てよいだろう。
今回の大雨でも多数の救助要請があり、また日本国内でも最近よく問題視されているのが、地下室や地下ガレージが水没してしまい、閉じ込められて命を落としてしまう事例。関係各所からすでに注意は行われているはずだが、それらの設備を持っている住民は、大雨や台風が天気図上を騒がしだしたら再度排水施設の確認をすると共に、降雨中は出来る限りその部屋(ガレージ)には立ち入らないようにしよう。
(c)2007 Associated Newspapers Ltd.
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