「物価が上がり景気が悪くなる」回答者が増加中

2007年07月20日 06:30

株式イメージ日本銀行は7月18日、最新(6月)の「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表した。それによると政策金利の水準について「現行では低すぎる」と答えた人が全体の6割を超える60.7%に達していることが明らかになった。昨年12月時点の63.5%と比べるとまだ低いが、3月の58.2%からは多少挙がっており、金利引き上げの一圧力要素になりそうである(【発表リリース、PDF】)。

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「景気感・一年後を現在と比べると」イメージ今調査は全国の20歳以上の個人4000人を対象に5月25日から6月18日の間に郵送形式によって行われたもので、有効回答数は2179人。それによるともっとも気になる「景気感」については前回調査の今年3月(以下同)と比べ大きな変動はないものの、将来を見越した意見「一年後を現在と比べると」について、「変わらない」「良くなる」が減った分がほぼそのまま「悪くなる」に加算され増えている、つまり「今後景気は悪化するでろう」という悲観論が増加しているのが気になるところ。

庶民生活で景気判断にもっとも影響をあたえる「物価への実感」も、悲観論が増えていることを裏付ける結果が出ている。「1年前と比べて物価はどうなったか」という問いには、「少し上がった」という回答が大幅に増えているのがわかる。さらに「1年後の物価はどうなるか」という推測に対しても、「少し上がる」と答える人が大幅に増えており、現在の物価上昇の傾向が今後も続くであろうと多くの人が考えていると思われる。

「現在の物価を一年前と比べるとどう感じるか」
「現在の物価を一年前と比べるとどう感じるか」
「一年後の物価は現在と比べてどうなるか」
「一年後の物価は現在と比べてどうなるか」

これが「五年後」となると「かなり上がる」と見る人が大幅に増え、物価上昇・インフレに対する不安が庶民の間に少しずつ浸透しているのがうかがえる。原油価格の高騰に始まるガソリンなどの燃料費やティッシュペーパーなどの紙用品の価格高騰、バイオエタノールの需要拡大などに伴う穀物価格の急騰で食品や油など、生活必需品が続々値上げを続けていること、税金の引き上げなど「負担増」の話ばかりが続いて実際に家計にも影響を与えていることから、「物価が上がっている、さらに今後も上がっていく」と考える人が増えているのは当然のことといえるだろう。

昨今の日銀政策では一番注目が集まっている、株価や景気に大きな影響を及ぼすであろう政策金利・金利水準については「金利が低すぎる」と答えた人が60.7%と6割を超える結果となった。

金利水準についての見方
金利水準についての見方

前回調査と比べると「金利が低すぎる」という回答が多少上昇している。これだけ見ると「金利引き上げへの追い風」という考え方も出来なくはないが、「適当な水準である」が減った一方で「低すぎる」同様に「高すぎる」と答えた人も増加していることから、大勢としては前回とほぼ変わらないと見ることができよう。

今回の調査結果からは【消費者物価指数(CPI)】が安定または下落を続けているのに消費者の物価上昇感は高まるなど、指数と庶民感覚の開きが広まっていることがうかがえる。また、日銀の超低金利政策については追い風、というよりは「金利が低い(ので上げて欲しい)」という意見はこれまでと同程度である傾向が見て取れる。

金利上昇は年金や預貯金の利子などにプラス効果があるものの、同時に住宅ローンなどの引き上げによる家計への負担増も想定される。また、さらなる物価上昇の引き金になる可能性も否定できない。物価が上昇し景気が悪化すると判断する人が増えている以上、日銀において金利政策にはこれまで以上に慎重さを求められることだろう。

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