アメリカの調査機関がページビューでのウェブサイト評価を廃止へ
2007年07月11日 06:30
【IBTimes】などが報じているように、アメリカのインターネット調査会社としては最大手にあたる【ニールセン/ネット・レイティングス】が、ウェブサイトの視聴状況の標準的な基準だったページビュー(PV、ページの表示数)に基づく調査を廃止、代わりに訪問者の滞在時間の統計を取り始めようとしていることが明らかになった。ウェブサイト上の表示技術の進歩に伴う変更だが、大きな指針の変更として注目を集めている。
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ニールセンではすでに平均の滞在時間、訪問者ごとの平均セッション数(一連の行動数)を計測している。今後はすべての訪問者の総滞在時間とセッション数のレポートを始める予定とのこと。
当サイトでも月間レポートという形で伝えているように、ウェブサイトの指標では「訪問者が1サイト上で閲覧したページ数」であるページビューがよく使われている。しかし最近では便宜性を高めるために「Ajax(エイジャックス)」という技術を利用しページを更新することなく最新のデータが取得できるケースが増えている。また、動画が掲載されていたりFlashなどで操作を行うページでも、結局のところ時間単位での表示ページ数は減ってしまう。
表示ページ数は少なくとも
「濃い」読者の可能性が。
ニールセン側ではこのようなウェブサイト上の技術の変化に対応するため、ページビューのデータ提供は継続するものの、公式ランキングを廃止するとのことである。そしてページビューについて「サイトの広告目録の指標としては有効だが、滞在時間はユーザーがサイトに関わっている度合の深さを計測するためのより優れた指標である」とも言及している。要は、例えばページビュー数が少なくとも、そのページでAjaxや動画、Flashなどで真剣に操作をしたり情報を取得しようとしている利用者は、サイトにとっても広告主にとっても「良い利用者」たる、ということなのだろう。
このような「総滞在時間」を基準にしたランキングを行うと、当然動画やAjaxなど、単独ページで色々できるコンテンツを提供しているサイトの方が高順位となる。情報を瞬時に表示して他サイトへのガイドを主目的とする検索サイトの順位は落ち、動画サイトやインスタント・メッセンジャーなどを提供しているサイト(ページは変わらず利用者の滞在時間は増える)の順位は上がるようになる。
要は「表示ページ数の偽装が容易だからページビュー数の評価価値が低下」ではなく、「これまでのようなページ数を表示しなくても利用者が希望を満たせるようなサイトの仕組みが広まってきたので、『便益は変わらない、あるいは増えている』のにページ数が減る現象が見られる」から、「ページビュー数はあまりサイト評価には結びつかない」と判断したわけだ。
単に表示しているだけか
離席しているのかを
判断するのは難しい。
ただし単純なページビュー数の計測と比べ、それぞれの訪問者の滞在時間の計測には技術的なハードルが高いだけでなく、「滞在時間の長さ」=「利用時間の長さ」とは言い切れないという問題がある。仮にある利用者が30分同一ページを閲覧したというデータがあっても、Ajaxや動画を用いて一生懸命サイトのコンテンツを利用したのではなく、単にページを開いていただけかもしれないし(マルチウィンドウで「見ているサイト」ではない方のウィンドウ)、諸般の事情で席を外していたのかもしれない。ビジネスシーンでパソコンをつけっぱなしにして離席した場合もしかり。
滞在時間の計測は確かに現状では有効な指標に違いない。が、同時にページビュー数同様にさまざまな検証をして「有意義なデータ」をする必要がありそうだ。
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