アクリル板+エタノール+加熱=高価値のスポンジ……大阪大学教授が発見
2007年07月10日 08:00
【asahi.com】が伝えるところによると【大阪大学大学院工学研究科・宇山研究室】の宇山浩教授が、透明なアクリル板をアルコールと水の混合液に漬けて60度に加熱すると、柔らかなスポンジに変わるという現象を発見した。この工程で作られるスポンジには非常に細かい穴があり、ナノテクノロジー(超微細技術)の材料として用いられる可能性があるという。またこの技術は医療や化粧品などへの応用が期待されている。
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宇山研究室では元々植物資源を原材料として用いて二酸化炭素の排出量を増やさない「カーボンニュートラル」に関する研究や、その植物資源を利用した高分子材料「バイオベースポリマー」の開発に携わっている。今回の発見は他のナノ材料の研究をするうちに、アクリル樹脂が
アクリル樹脂2~4グラムに「水20ミリリットル+アルコール(エタノール)80ミリリットル」の混合液を漬け、60度に加熱する
という非常に簡単な工程を与えることで溶けることを発見した。さらにこの溶けた液をそのまま冷やすと、液を含んだスポンジができたという。
このスポンジも単なるスポンジではなく、300ナノメートル(1ナノは10億分の1)の粒子が連なったナノ多孔体といわれる状態になっていて、弾力が生じていたという。ちなみにこの「ナノ多孔体」、ナノ単位の極小の凹面皮膜や穴を持つ原材料で、医療やバイオテクノロジー、化粧品、触媒や分離膜、センサー、デバイスなど多くの分野において注目を集めている物質群とされている。詳しくは【ERATOの専用ページ】にあるが、特に高分子材料分野で注目されている。
研究室のサイトなどでは今件に関する発表文面が見つからないので元記事からの情報しかないが、今回の発見について工程は分かったものの、その理由は今のところ不明であるという。また、現在アクリル樹脂の一部は400度という高温で溶かされ、リサイクルされている。今件の手法について宇山浩教授は「ゼリーをつくるイメージ。従来に比べ、簡単で安価なリサイクルが可能だ。メーカー工場の廃熱なども利用できる」とし、容易にアクリル樹脂を廃棄する方面で期待を寄せているとのこと。
簡単な材料と工程で廃棄できる、まるで魔法のような手法もさることながら、その工程で生成できる「ナノ多孔体」にも大いに期待ができる。今後、大阪大学や宇山研究室からの正式な発表や、今発見を元にした応用技術の開発に期待したいところだ。
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