うつ病でつらいことは「経済的な問題」が過半数を占める

2007年07月09日 06:30

医療イメージ製薬事業を行う企業を支援する【シミック】は7月2日、うつ病患者に対する意識調査の結果を発表した。それによると、現状においてもっともつらいことは「職場を休職、失業するなど経済的な問題が生じている」という回答で56.8%を占めていることが明らかになった(【発表リリース】)。

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今調査は5月7日から6月10日の間にうつ病の患者を対象に健康ポータルサイトで行われたもので、回答者数は303名。性別は男性102名、女性185名、無回答16名。年齢別では30代がもっとも多く126名。

最近では多くの企業で問題視され、専門のプログラムも組まれるようになったこの病気。症状や原因が人それぞれで特効薬は無く(セロトニン関連の対処薬など近いものはあるが)、対処も多種多様に及ぶため、専門家はもちろん周囲の人たちの理解が必要となる。その一方、「うつ」でない擬似的(仮病)な人も見受けられたり、外見は通常の人と同じため理解されにくいこともあり、悩みのタネは本人だけに留まらない。

「うつ病になってもっともつらいことは」という問いに対する複数回答での意見では、「職場を休職、失業するなど経済的な問題が生じている」という切実な答えがもっとも多く172人から聞かれたという。

「職場を休職、失業するなど経済的な問題が生じている」……172人
「治療効果が現れない」……125人
「友人や家族の理解が得られない」……123人
「薬の副作用」……110人
「その他」……100人
「信頼できる医師が見つからない」……60人


経済的な問題は周囲への告知へも影響を与えている。リリースでは「女性の方が周囲に病名を打ち明けづらい」とし、その理由として「解雇されるかもしれないから」と推測している。正社員ならともかく契約・派遣社員の場合、(労働基準法上は微妙なところだが)「うつ病と打ち明けたら解雇されるかも」という心配はリアルな、そして経済的な問題として当事者にのしかかってくるのだろう。

当事者にとって家族や知人からはどのような対応やサポートを望んでいるかイメージ主治医からはともかく、当事者にとって家族や知人からはどのような対応やサポートを望んでいるかという問いには、「詳しい知識を身に付けて欲しい」という答えが36%ともっとも多くを占めた。その他にも「偏見を無くしてほしい」など、正しい情報が知れ渡ることを望んでいるようすがうかがえる。





当事者たちは自分達の病気に関する情報や知識をどこから入手しているかイメージでは当事者たちは自分達の病気に関する情報や知識をどこから入手しているか、という問い(複数回答)には、インターネットが圧倒的に多く35%を占めた。主治医の21%をもはるかに上回る値である。

当方も持病の治療過程でつくづく感じたのだが、内容の良し悪しはともかく自分の病状などに関する情報は多数ネットから入手できる。その情報は単なる学術的なものに留まらず、自分と似たような症状に苦しみ、努力し、立ち向かう人たちの話など、多種多様に及ぶ。

病気になるとどうしても自分が世の中から隔離されているような気分にすらなるが、その気持ちを安らかにし、「自分だけじゃない」と安心感を与えてくれるのがネット上の情報に他ならない。もちろんネットがない時代はアンケート上にもある「患者・一般向けの書籍」などがその役割を果たしていたのだろうが、気軽さや探しやすさではネットがはるかに勝っている。

リリースには「治療期間が1年を超える人は6割、2年以上も47%」「通院先を複数移転している人は5割超」など厳しい現実も見受けられる。メディアリテラシー(media literacy:メディアを読み解いて必要な情報を引き出し、さらにその真偽を見抜いて活用する能力)を身につけることは必要だが、せめて十分にネットを活用することで、少しでも現状打開にプラスとなるよう望みたいところだ。


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