やはり利用率は低い? 『セカンドライフ』利用者率は0.7%

2007年07月28日 12:00

『セカンドライフ』イメージ【Webマーケティングガイド】が7月26日に発表した調査結果によると、多人数同時参加型ネッワークコミュニケーションツール【セカンドライフ(Second Life)】の現在における利用ユーザー率は全体の0.7%であることが明らかになった。調査が日本語版開始直前であるため、現在ではもう少し利用率が上がっている可能性は高いが、それでも微妙な値であることが分かる(【発表リリース】)。

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今調査は7月10日から12日の間、インターネット経由による調査で20歳から49歳の男女に対して行われたもので有効回答数は300人。回答母数が少なめなので、社会の一般的な状況とはぶれが生じている可能性がある。

まず『セカンドライフ』を知っているか、プレイしているかどうかをたずねたところ、「知っていて利用もしている」というユーザーは全体のうち4人、0.7%であるという結果が出た。

『セカンドライフ』を知っている? 利用している??
『セカンドライフ』を知っている? 利用している??

プレイの有無はともかく「知っている」人は過半数の51.4%に達していることから、『セカンドライフ』というバーチャルシステムが比較的広範囲に認知されていることが分かる。しかも今調査は7月17日の日本語版スタート直前に行われたもの。日本語版も利用できる現在では、さらに認知度・利用度はそれなりにプラスされていることは容易に想像ができる。

それは3番目の問い、「(知っているが利用していない人に)なぜ利用しないのか」への回答からもうかがえる。

(『セカンドライフ』を知っているのに利用しない人に)なぜ利用しない?
(『セカンドライフ』を知っているのに利用しない人に)なぜ利用しない?

「興味がない」「時間がない」はともかく、「仕組みが良く分からない」が36.2%、「日本語サービスがない」25.7%、「周囲でやっている人がいない」が19.1%と、提示選択肢の問題もあるだろうが、日本語サービスが開始されれば容易に改善されるであろうポイントが「利用しない」理由になっていることが分かる。つまり、

・日本語版が登場すれば『日本語サービスがない』は改善される。
・色々な解説サイトや解説本も今まで以上に多数登場するから『仕組みがよく分からない』人たちも理解できるチャンスが増える。
・日本語版登場や理解できる機会が増えることでプレイヤーも増加するため、『周囲でやっている人がいない』と嘆く人もある程度状況が改善される。


という按配(あんばい)だ。

ただし、今回のアンケート調査結果からは判断できないが、「『セカンドライフ』に実際挑戦してみたけれど興味の沸くものではなかったので止めてしまった」、つまり「食わず嫌い(で今後状況の改善によって挑戦する可能性が高い)人」以外に、多分に「食べたけどやっぱり嫌い(=体験したけど自分の趣向に合わないので、もうプレイしない)」な人が少なからずいることを忘れてはならない。

ブログやサイトの体験レポートでもそのような意見をあちこちで見かけることができるので、その割合はかなりのものに登ると思われる。しかもそれが「これから状況は容易に改善する(日本語環境の整備やビジュアルの改善、etc...)ので、しばらく経ったらまたトライしてよ。そうすれば気持ちも変わるから」と声をかけられるようなレベルのものではなく「どんなに環境が改善されても、やはり『セカンドライフ』自身が自分の肌には合いません」と断言されてしまうタイプのものが多い。

日本語版がスタートしたので
認知が広まり
挑戦する人が増え
もう少し利用率が高まる
……かも

例え日本語版がスタートし、ビジュアル面などで改善が進み、『セカンドライフ』の世界内で日本語街や他の日本人プレイヤーの登場が増えてプレイしやすくなったように見えても、そして実際に挑戦する人が増えても、「数回プレイしたけど、もうお腹一杯。プレイはおしまい」と「『セカンドライフ』は知っているが、(かつて体験したことはあるが、現在ではもう)利用はしていない」人も増加するため、結局知っていて利用もしている人は「0.7%」という数字から、あまり変動することはないのかもしれない。

すでにお察しの通り似たような事案は今年の3月に【インプレス(9479)】傘下の出版社【インプレスR&D】がアンケートを実施し、知っていてプレイしている層は「0.8%」という結果が出ている(【日本の『セカンドライフ』利用者は0.8%・「実質ゼロ」の少なさ】)。調査対象や調査方法、調査母数の違いなどはあるが、結局「1%未満」という数字に変わりはないことが分かる。

両アンケートとも「『セカンドライフ』”しか”プレイしていない(あるいはメインでプレイしている)」という問いではなく、単にプレイしているかどうかなので、メインとして利用している以外に他のゲームや類似サービスとの併用というパターンもあわせて考える必要がある。「あなたはハンバーガーを食べていますか」という問いに「はい」と答えた人が、毎日必ずハンバーガーを食べているわけではない。週一くらい、三日に一度くらいでも「はい、食べています」と答えるだろう。それと同じようなものだ。


今回の調査結果も、やはり『セカンドライフ』に期待を寄せている人たちには多少残念な結果になったと言わざるを得ない。あるいは「パソコン提供のサービスで利用率0.7%なら大したものだ」と判断できるのだろうか。類似サービスがないだけに比較はできないが、正直微妙な値といえる。

また前回のインプレス社によるリサーチは電話経由で行われたのに対し、今回はインターネット経由、すなわちパソコンとネットをある程度使いこなしている人が回答していることに注意する必要もある。つまり前回は「世間一般に対して0.8%だから、案外広がっているのでは?」という解釈もできるが、今回は「パソコン、しかもネットを活用しているユーザーに対して0.7%? 事実上誤差の範囲では??」という認識もできるからだ。

日本語版の提供はスタートしたが、肝心のリンデンラボ社や関連する日本企業各社から、それを世間一般に告知する広報活動はあまり活性化していないように見える。日本人に対してはまたとないアピールチャンスなのに、不思議な気がしてならない。実際の利用者経由による口コミ効果を狙っていると推測できるが、現在のところその思惑は外れ気味、のように見受けられる。

一方海外でも状況は似たようなものだが、一方で【セカンドライフ内の救急・医療訓練施設(シリアスゲームスジャパン)】のように、『セカンドライフ』をバーチャルシステムとして有効に活用しようという動きも広まっている。日本ではこの分野が特に立ち遅れているので、むしろこういった「実用的な利用法」で『セカンドライフ』を利用する事例を増やしてほしいものだ。


(最終更新:2013/08/20)

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