味の素、塩分半分の塩「やさしお」を8月20日から発売

2007年07月29日 12:00

食塩イメージ【味の素(2802)】は8月20日から、独自技術を用いた「おいしさそのまま、塩分1/2」の健康塩「やさしお」を8月20日から発売すると発表した。食塩の主成分である塩化ナトリウム(NaCl)を半分にし、代わりに塩化カリウム(KCl)を加えることで塩味をそのまま維持したという(【発表リリース】)。90グラム入りのビンと180グラム入りの袋版で発売予定。

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やさしおイメージリリースによれば現在の日本人の一日あたりの塩分摂取量は男性が11.5グラム、女性が10.1グラムなのに対し、厚生労働省側の目標値はそれぞれ10グラム、8グラム。いずれも塩分過多の状態にある。減塩は健康維持のためには欠かせない食事管理のテーマとなるが、単に塩分を減らすだけでは言葉どおり「味のない」食事となり、生活の質(QOL)を失う可能性もある。

今回発売される「やさしお」では塩化ナトリウムを半分にし、代わりに塩化カリウムを加えることで、塩味を維持しつつ塩分(塩化ナトリウム分)を1/2に抑えた塩。ただし塩化カリウム自身には苦味がある(そもそも「にがり」の成分でもあるから)ので、そのままでは「苦い塩」になってしまう。そこで味の素では独自技術としてγ-PGA(ポリグルタミン酸)を加え、まろやかな味を維持することに成功したとのこと。

ちなみにこの「ポリグルタミン酸」とは納豆のねばねばを作っている成分で、アミノ酸の1つ「グルタミン酸」が多数長くつながったものだという。成分レベルの話とはいえ、納豆の成分が塩にも使われているとは不思議なお話である。

なお使用している塩化ナトリウムは瀬戸内地方・備前岡山の海水から作ったものとのこと。

「塩なのに塩分半分」とはどこか矛盾しているようなコピーだが、実のところは「塩分」を示す「塩化ナトリウム」を半分にした、という意味で納得が行く。当方の記憶では随分昔から「塩化ナトリウムから塩化カリウムへ、食塩のスライドが行われている」ということだったのだが、実際にはまだ「食塩の塩分=塩化ナトリウム」が大部分だったようだ。

ちなみにγ-PGA(ポリグルタミン酸)を用いてまろやかさを出す技術は今回の「やさしお」が初めてになるが、「塩化ナトリウムを半分ほど塩化カリウムに置き換え、ナトリウムを半減した食塩」は今回のが初めてというわけではない。すでに減塩を必要とする病人に対する療養食として、大正製薬から『減塩習慣シリーズ』が、旭ソルトからも『お塩で減塩』が発売されている。そのいずれもが基本的に塩化ナトリウムを半分にして代わりに塩化カリウムを足しただけなので、今回の「やさしお」が本当に味の面で「優しい」ものとなるのか、普段から利用している人には気になるところだろう。

また、塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを利用しているということは、それだけカリウムの摂取量が増えることになる。病状の中にはカリウムの多量摂取が禁じられているものもあるので、注意が必要である。


(最終更新:2013/09/02)

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