電子マネーの利用率は6割、一番人気はスイカ(Suica)

2007年07月04日 06:30

Suicaイメージ『楽天リサーチ』は7月3日、電子マネーに関する調査結果を発表した。それによると電子マネーを利用したことがある人は6割程度に及び、もっとも使われている電子マネーはスイカ(Suica)であることが明らかになった(『発表リリース』)。

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今調査は5月16日にインターネットを使って行われたもので対象は関東地区の一都三県に住む20代から60代の男女1000人。地域が関東地区に限定されていることに注意する必要がある(電子マネーの普及は地域特性も考慮する必要があるため)。

電子マネーの使用頻度は使われ方で人それぞれの傾向が強い。例えばサラリーマンなら通勤の過程で定期と共に用いたり、キオスクやコンビ二で買いものをするため、平日毎日のように使うだろう。主婦ならば毎日、あるいは数日置きの買いものに出かけるシーンで使用するため、利用頻度はサラリーマンとは異なる傾向にある。

それらをすべてあわせた全体としての利用頻度は、週に2~3回と答えた人がもっとも多く全体手の12.5%に及んだ。

電子マネーの利用頻度
電子マネーの利用頻度

利用したことがない、今はもう使っていない人をあわせると約4割の人が「現在未使用」と回答しているが、逆にいえば6割近くが何らかの形で電子マネーを利用している計算になる。また、年齢層別では20代がもっとも利用率が高く7割以上、高年齢層ともいえる30代から50代の各層でも過半数が利用しており、電子マネー自身は普及の一途をたどっていることが分かる。

電子マネーが普及しつつあるのは分かったが、それでは具体的にどこの電子マネーが人気なのか。利用者からよく聞かれるのは「規格があまりにも多すぎてどれを使えば良いのか分からない」という話。携帯電話などには複数の電子マネーを使える仕組みがほどこされているが、例えるなら「ドルとユーロとポンド、いずれも使えます」と言われているようなもので、利用者側もとまどうに違いない。

現在使っている電子マネー(複数回答)
現在使っている電子マネー(複数回答)

複数回答の結果では、実に75.0%もの人がJRのSuica(スイカ)と答えた。やはり通勤・通学定期として利用しているスイカの汎用性・便宜性はきわめて高い、ということなのだろう。なお最初にも説明したが今調査は関東地区を対象としたものなので、全国区で調べた場合同じような結果が出るわけではないことをあらためてコメントしておく(同じJRグループでもイコカなどが出てくるかもしれない)。

スイカに続くものはEdy(エディ)、PASMO(パスモ)。「メインで使っている電子マネーは」との質問もこの順番通りの結果が出ていることからも明らかなように、この3つが「三強電子マネー」のようだ。ちなみにスイカのメイン利用率は過半数。エディとパスモをあわせると94.9%に及ぶ。圧倒的な割合といえよう。

実際に利用している人たちの利用額は、一か月あたり3000円未満という人が過半数を占めている。多額の買いものに電子マネーを使うというシーンはあまり想定していないようだ。これは電子マネーそのもののシステム(チャージ上限制)や、利用場所における商品単価などが主な理由だろう。

電子マネーは元々「小銭を使わずワンタッチで支払が出来るので便利」というキャッチコピーで世に広められた。確かにサイフを小銭でふくらませる必要がなく、便利なことこの上ない。訴求ポイントは確実に伝わっているのが分かるのが、「電子マネーを使う理由は」という問いに対する回答。

電子マネーを使う理由
電子マネーを使う理由

一番多かったのが「支払が便利だから」というもの。これはメーカー側が喧伝していたこととまさに一致する。また、第三位の「お金を持ち歩かなくて済むから」もほぼ同じ理由に挙げられるだろう。他に、「ポイントがつくから」など、利用者のお得感をくずくる仕組みも利用者には有効に作用していることもうかがえる。


電子マネーはいわば「利用店舗専用のデジタルキャッシュ」。その金額分を関連店舗で利用するようお客の囲い込みができるし、お手軽さから購入意欲を高められる。さらに利用履歴を活用し、さまざまなサービスを提供し、お客のロイヤリティをアップさせることも可能となる。大規模なインフラを整備運用できる自信と体力があれば、これほど魅力的なインフラも無い。

各大手流通・小売業者がこぞって電子マネーを展開しているのも、これらの理由によるもの。現在10種類以上もの電子マネーがしのぎを削っているが、これは先の例えなら「円以外にドルやユーロ、ポンド、リラ、マルク、ルーブル、ウォン、ペソ、etc.」が国内で流通しているようなもの。便利なシステムを提供しているはずなのに、かえって利用者にとっては不便なものになりかねない状況にある。

利用者のニーズと共に、今後すでに一部で行われている電子マネーの相互互換がさらに推し進められ、最終的には二、三社に統合されることだろう。その際、今回のランキングがそのまま生き残る可能性と連動する……のかもしれない。


(最終更新:2013/09/02)

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