6月度のコンビニ売上高、既存店は12か月連続してマイナス・客単価も下落中
2007年07月21日 12:00
日本フランチャイズチェーン協会は7月20日、6月度におけるコンビニエンスストアの統計調査月報を発表した。それによると既存店の平均単価・売上高が共に前年同月比で-4.2%と大きく下落したことが明らかになった。昨年同月では7月1日からのたばこ増税で駆け込み需要があり、その反動によるものとレポートでは分析している(【発表リリース、PDF】)
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今調査結果の概要はまとめ記事【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】で説明している。そちらで確認してほしい。
各データについて前年同月比は次のようになる。
●店舗売上高:既存店は12か月連続マイナス、全店は9か月ぶりにマイナス
・全店ベース……-2.0%
・既存店ベース…-4.2%
●店舗数
・+1.4%
●来店客数:既存店は2か月連続プラス、全店は11か月連続プラス
・全店ベース……+1.9%
・既存店ベース…+0.0%(5.1万人増加)
●平均客単価:7か月連続マイナス
・全店ベース……-3.8%(573.7円)
・既存店ベース…-4.2%(568.1円)
●商品構成比(全店ベース)
・日配食品……+4.0%
・加工食品……+1.0%
・非食品………-12.9%
・サービス……+6.9%
・合計…………-2.0%
※既存店……1年以上営業中の店舗
コンビニだけでなく小売全体の業績が停滞気味なのはすでに知られている話(消費人口の減少や家計の切迫化などが原因)ではあるが、今回の調査結果からもそれが裏付けられたことになる。
説明にもあるように昨年の同時期は「たばこ特需」により非食品の売り上げが増えており、その反動が非食品部門における「-12.9%」という大きなマイナスを出し、他の部門の足を引っ張った形となっている。
ただ、過去のデータを見る限り(新店舗を続々展開して目新しさで集客している傾向が強いのが気になるが)、売り上げ、来客数は順調な伸びを示している。中でも「サービス」部門は5%以上の高い伸びを示し続けているのが注目に値する。一方で客単価は下がる一方で、このままでは「500円玉一枚」を割り込む日もそう遠くはないのかもしれない。
コンビニのライバルというと「100円ショップ」が筆頭に挙げられ、次いで深夜営業も行うようになった地域スーパーやデパートが続く。それらと比較すると、「コンビニならではのサービス」「コンビニでないと手に入らない商品」の割合は
サービス(公共料金支払、写真、商品受取)>日配食品(プライベートブランド、弁当)>加工食品(お菓子やジュースなど)>非食品(たばこや新聞、文房具など)
となる。今月のように特異なデータもあり、季節ごとの違いも生じるが、多くの場合サービス部門の伸びは高く、非食品の伸びは低い傾向にある。
コンビニは元々その名前の通り「いつでも何でもそろう便利なお店」が一義的な存在価値であり、商品の独自性や価格の優位性は「便利さ」というメリットでカバーする傾向があった。しかし「100円ショップ」が登場して長時間(場合によっては24時間)営業するようになり、スーパーやデパートも深夜まで開くようになり、コンビニの「便利さ」というメリットが薄れつつある事実は否定できない。
「コンビニならでは」の部門が伸び続ける一方、コンビニでなくとも可能なサービスが減る傾向にあるのは、消費者が賢い選択、すなわち「コンビニでしかできないことだけをコンビ二で行い、他の店舗でも出来る場合は安い方を選ぶ」をしつつあるのではないかと推測できる。来客数が増加しているのにお客の単価が減り続けているのも、コンビ二で購入する商品やサービスが減っているからではないだろうか。
今データはあくまでも加入コンビニ店の概要的なデータであり、各お客の購入商品数の推移や具体的な商品の傾向などはそれぞれの企業の内部データからでないと分からない。そしてそれは重要な戦略判断データでもあるため、決して公開されることはないだろう。しかしそれぞれの企業では自社のデータを分析し、頭を抱え、打開策を模索しているに違いない。
その結論の一つが、一部コンビニで開始されている「地域密着型店舗」であり、「100円ショップ型店舗」であり、「外食チェーンへの展開」なのだろう。また、各社が必至に電子マネーを展開しているのも、同様の観点によるものに違いない。
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